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ウツワ ハヤカワ五味

・2019年の振り返り
自分の分野でいえば、「生活用品の見直し元年」だったと思います。生理用品大手3社がそれぞれ携帯性やインテリア性を重視した商品を展開したり、洗剤においては花王から"アタックZERO"という生活に馴染むデザインかつ、UI見直しされた商品が発売されました。

この背景として、ドラッグストアなどの店頭で商品特徴を知り、比較検討の末に商品を購買するという従来型の購買フローから、SNSやインターネット上で事前に商品特徴を把握した後に店頭もしくはインターネットで購入するという未来型の購買フローに移りつつあることが挙げられます。アマゾンで売られているラベルレスボトルのように、インターネット上で情報伝達をできるからこそのミニマルな商品デザインは来年も引き続きトレンドとなりそうです。

あわせて、ポスティングに最適化するなどEC販売にフォーカスした生活用品も増えそうですが、これだけコンビニの多い都心部ではEC利用のメリットがそこまで大きくないので、どちらかといえば今後、地方部でどれくらい生活用品ECが受容されていくかが注目ポイントかなと思います。

・2020年のトレンド予測
交通系各社の「MaaS」参入の本格化でしょうか。来年なのかは微妙なラインですが…。まず2020年は、政府が自動運転のレベル3実用化を目標としている年であり、ホンダからレベル3(※自動運転はレベル1-5で区分されており、レベル3以降は事故責任が自動車側に求められる)相当の技術搭載のされた車が発売されるとされてる年でもあります。

自動運転が実用化された未来で移動中のエンタメをどの会社が取るかということが議論され始めて久しいですが、合わせて、根本的に移動や居住の意味が大きく議論され始める頃なのではないかと思っています。特に、鉄道のような特定の区間しか移動できない交通手段は大きなハンディキャップを負うので、その中でどのように私鉄各社が路線ブランドを守っていくか、どの会社がMaaSを勝ち取れるかというのが注目ポイントです。

移動自体がサービス化してゆく時代は、馬車から鉄道に移行していく時代と同じくらいの大きなゲームチェンジだと思っています。小売業をやっている自分は、交通や居住が変われば大きく小売のあり方も変化していくので引き続き目が離せません。

マクアケ 中山亮太郎

・2019年の振り返り
我々にとっては、まさにあらためて「幕開け」となった年でした。12月に東証マザーズに上場し、会社もサービスも新しいステージへのスタートを切れた年となりました。事業そのものとしては、振り返ると愚直に進めていた地銀・信金のパートナー数が100社を超えるなど地方の優れた企業へのアプローチ力が一定のレベルを超えてきた点や、国内だけでなくアリババグループの事業と提携するなど東アジアに広がる商流生態系づくりも進んだ点などさまざまな面で大きく前進できた年となりました。

また、リピーター決済率が総決済の70%という大台を超えたというのも、Makuake自体が世にないアタラシイものや体験を見つけられるメディア的な価値としてまた一段とレベルが上がったなという感触を掴み、応援購入という新しい消費スタイルが更に広がっていく兆しを強く感じられる一年となりました。

年の前半にあらためて「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」というビジョンを掲げるようにしたのですが、ビジョンドリブンな経営をする上で進むべき意思決定の羅針盤が強化されたことは大きかったです。

・2020年のトレンド予測
いよいよ小売流通の構造や生態系の変化が強く感じられるようになると思います。消費者の趣味嗜好が加速度的に多様になっていく時代に対応するべく、新しいモノやサービスの生まれ方や流れ方がリアルもネットも両軸で変化していくと考えおり、そこに対応している作り手や売り手や広げ手が新しい主役になるドラスティックなゲームチェンジが加速してくると思います。ですので、リテール業界の変化は様々な切り口で注目していますし、我々もその主役でありたいと思っています。

SmartHR 宮田昇始

・2019年の振り返り
日本でSaaS業界が盛り上がった1年だったなと思います。「SaaS元年」と言う人もいますが、まさにその通りだと思います。SmartHRをはじめ、フロムスクラッチやYappliなど、未上場SaaSベンチャーが大型資金調達を実施し、SanSan、freeeの2社がユニコーン級の上場を果たしました。

働き改革などの追い風もあり、これまでオンプレ型が主流だった大企業や、IT化が遅れていた地方においてもSaaSが徐々にひろがっています。採用市場においても「SaaS系の会社で探している」という候補者にお会いすることも多く、「カスタマーサクセス」というSaaSならでは職種も市民権を得ています。

また、メルカリやラクスルの上場を機に、機関投資家をはじめとした海外の大型投資家から、日本のスタートアップ市場への注目が高まっているように感じます。SaaSはメトリクスが共通化されており、投資判断をしやすいことから、日本のSaaSによりお金が集まりやすくなっているとも感じます。

・2020年のトレンド予測
引き続きSaaS、なかでもエンタープライズの領域に期待しています。時代はオンプレミスからクラウドに移ってきています。「クラウドサービスの利用企業は、利用していない企業より労働生産性が約30%高い」「米国の2000名以上の大企業では1社平均120個ものSaaSを利用している」というデータがあります。

しかし、日本ではエンタープライズのSaaS活用はまだ始まったばかりです。大企業はそこで働く従業員数も圧倒的です。国内の労働生産性を考えると、かなりのインパクトです。大企業の生産性が向上しないと、日本全体の生産性は向上しません。

また、エンタープライズや、レガシーな巨大産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)にも注目しています。もはやスタートアップは一部の「変わり者」だけのものではなく、現実的に採れる選択肢の1つになってきたと思います。ここ1〜2年で、大企業やレガシー産業を飛び出してスタートアップをはじめる人たちが増えてきましたと感じます。

彼らが、自分たちの業界が抱えていた課題に対して、機械学習やブロックチェーンや、SaaSのメソッドなどを組み合わせて、ソフトウェアで切り込んでいく。それも、効率化というレベルではなく、破壊的な変革を起こすようなスタートアップが産まれてくることを期待しています。

編集=Forbes JAPAN 編集部

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