その10カ月後にProject Griffinはネットフリックスからスピンアウトし、Rokuが引き継いだ。そのタイミングでネットフリックスはRokuに出資したが、数年後に株式を売却している。
Rokuは、セットトップボックスの初号機を2008年にリリースした。ReplayTVでの反省から価格は99.99ドルと安く設定したが、現在では最も安いデバイスの価格はその3分1以下となっている。ストリーミングメディアデバイス市場におけるRokuのシェアは41%と、アマゾンの「Fire TV」やグーグルの「Chromecast」、「Apple TV」を上回る。事業は今も成長を続けているが、市場は熾烈な価格競争に陥っている。
Rokuは、2014年に日立や三洋電機、中国のTCLやハイセンスといったテレビメーカーと提携し、テレビ向けOSの開発に着手した。同社によると、2019年1〜9月に米国内で販売されたスマートテレビの3台に1台に同社のソフトウェアが搭載されているという。
厳しさを増す競争環境
しかし、5月には世界最大のテレビメーカーであるサムスンが、全ての同社製スマートテレビにApple TVアプリを搭載すると発表し、競争は激化している。
広告事業でも競争環境は厳しくなっている。3月には、メディアコングロマリット「バイアコム」が、広告付き無料ストリーミングサービスの「Pluto TV」を3億4000万ドルで買収した。また、NBCも来年4月に広告付きストリーミングサービス「Peacock」をローンチすると発表している。
ウッドは競合の参入を歓迎している。「ストリーミング戦争でエキサイティングなのは、ディズニーのような巨大企業がストリーミングに参入していることだ。こうした動きは我々にとって大きな追い風だ」と彼は話す。
しかし、大手メディア企業は、近い将来強敵になる可能性がある。調査会社Pivotal ResearchのCEO、Jeffrey Wlodarczakは9月に発表したレポート「Is Roku Broku?(Rokuは倒産するのか?)」の中で次のように述べている。
「あらゆるメディア企業は、リビングルームの重要性に気づき始めた。大手企業の参入により、Rokuのさらなる成長は困難になるだろう」
ウッドは、そろそろ次のピボットを考えたほうがいいのかもしれない。