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2020.01.01

ストリーミング分野の知られざる富豪「Roku」創業者が歩んだ道

Photo by Lori Butcher / Shutterstock.com


Rokuは広告事業をさらに強化するため、2019年10月にボストンに本拠を置く広告プラットフォーム「dataxu」を1億5000万ドルで買収した。

投資家はこうした流れを歓迎しており、Rokuの株価は2019年初めから340%上昇した。これに伴い、創業者であるウッドの資産額は1月時点の26億ドルから33億ドルに急増した。

広告主向けにサービスを提供する考えは、ウッドが過去に犯した失敗から学んだ教訓だ。彼は1990年代初め、大好きだったテレビドラマシリーズ「スタートレックThe Next Generation」をVHSよりも優れた方法で録画するためにハードディスク・レコーダーの開発を思い立ち、「ReplayTV」を1999年にリリースした。

競合の「TiVo」に大敗


価格は1000ドルに設定したが、ライバルの「TiVo」が500ドルだったためボロ負けした。キャッシュが底をつきそうになったウッドは、2001年にReplayTVを「SonicBlue」に4200万ドルで売却した。

ウッドは会社にとどまり、TiVoと差別化を図るためにCMスキップ機能を搭載した新型ReplayTVをリリースした。これは大きな過ちで、パラマウントやMGM、ディズニーなどから提訴され、SonicBlueは倒産に追い込まれた。「業界の必要条件を理解していなかった」とウッドは当時を振り返って述べた。

ウッドは困難に挫けることなく、2002年にRokuを設立した。彼がネットフリックスのリード・ヘイスティングスを昼食に招待したところ、ヘイスティングスは応じたという。

「ヘイスティングスはReplayTVの頃から私を知っていたのだろう」とウッドは話す。ウッドはヘイスティングスからネットフリックスに入社するよう口説かれ、2007年にインターネットテレビ事業担当の副社長に就任した。ネットフリックスで彼はストリーミングプレーヤーの開発プロジェクト「Project Griffin」を推進した。
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編集=上田裕資

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