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2020.01.01

ストリーミング分野の知られざる富豪「Roku」創業者が歩んだ道

Photo by Lori Butcher / Shutterstock.com

ハードディスク・レコーダーやネットフリックスの登場により、視聴者はテレビCMを嫌うようになった。こうした視聴スタイルを生み出した立役者の1人が、ストリーミングデバイス「Roku(ロク)」を考案したアンソニー・ウッドだ。

彼は初期のハードディスク・レコーダー「ReplayTV」の創業者であり、ネットフリックスの元幹部でもある。

ウッドはネットフリックス時代、同社の共同創業者であるリード・ヘイスティングスの直属の部下だった。ウッドはその後、ストリーミングサービスの視聴に特化したデバイスの「Roku(ロク)」を設立した。ロクという社名は日本語の六を意味し、彼が6番目に創業した企業であることにちなんでこの社名にしたという。

Rokuは、ネットフリックスやアマゾン・プライム、Huluなどを横断的に利用可能にするデバイスで、価格はグーグルのChromecastよりも安い、約30ドルからとなっている。

創業当時のRokuは主にデバイスの販売から売上を得ていたが、低単価で利益率が低いため、赤字続きだった。その後、同社は事業モデルを転換し、広告をメインの収入とするようになった。

今や、ストリーミング関連のツールはゲーム機器から、スマートテレビまであらゆるハードウェアに統合されている。Rokuが広告事業にシフトしたのは適切な選択だった。現在54歳のウッドは、現状のビジネスモデルに自信を抱いている。

「テレビCMの世界では、広告効果を把握する唯一の方法がニールセンのレポートだった。しかも、広告を見た視聴者の大まかな人数しか測定出来なかった。我々の測定内容はもっと精緻だ。例えば、広告を視聴した人の5%が広告主のウェブサイトにアクセスして商品を購入したなどの指標を分析可能だ。我々は、ネット広告分野で一般化したテクノロジーをテレビ広告の世界に持ち込んだ」とウッドは話す。

「広告」の在り方を根底から革新

Rokuは独自の測定ツールを使用しつつ、ニールセンをはじめ11社と提携して広告パフォーマンスを分析し、ジャガーランドローバーやバスキン・ロビンスなどの広告主に対して視聴者の分析レポートを提供している。

同社の広告事業は順調に拡大している。2015年には3億2000万ドル(約350億円)の売上のうち、ハードウェア事業が84%を占め、広告やコンテンツの売上構成比は16%の5000万ドルしかなかった。それが、今では広告が最も速く成長しているセグメントとなり、売上構成比はハードウェア事業と逆転しようとしている。
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編集=上田裕資

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