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ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座

忘年会やホリデーパーティ、お正月など、なにかと人と食事をする機会が増える年末年始。1年の労をねぎらったり、新たな1年に乾杯したり、そんなシーンにシャンパンを選ぶ人も多いのでははないだろうか。

そこで今回は、世界各地のワイナリーや醸造家を訪ね、ワイン・シャンパーニュ分野に詳しいオフィシャルコラムニストの島悠里が、今年心に残ったシャンパーニュのベスト3をピックアップした。

「今年も仕事やプライベートでたくさんのワインを試飲しましたが、ワインの良いところは、ワインの味わいとそれをシェアした人との思い出が一緒に残るところ」と言う島。毎年秋には収穫にも足を運ぶ、生粋のシャンパンラバーならではの3本を紹介する。


1. Pol Roger Sir Winston Churchill 2002



英国王室の御用達メゾンとして名高いポル・ロジェが、同メゾンを愛した元首相のウィンストン・チャーチルの名を冠して作る渾身の作品。2002年はシャンパーニュの偉大なヴィンテージ(収穫年)となり、そのワインは長期にわたる熟成が期待されるが、17年を経て、今花が開き始めている。

7月に、ポル・ロジェで開催されたイベントで、ブレス鶏のキノコ添え、シャンパーニュ・ソースに合わせたのが、この2002年。濃厚なソースに匹敵するワインの骨格とパワーに圧倒されていると、口の中にワインのクリーミーさ、ブリオッシュやくるみといったフレーバーが広がった。ブレス鶏の奥深い味わいと重なり合う最高のペアリングだった。

2. Louis Roederer Cristal Rose 2009



ルイ・ロデレールのクリスタル・ロゼは、ロゼ・シャンパーニュの最高峰だ。美しい畑と緻密な醸造から、ピュアな果実とエレガンスが特徴の優美なワインが生み出される。

2009年は日差しに恵まれた太陽の年で、ワインには明るく熟した果実が現れる。2009のクリスタル・ロゼも、リリース当初の2016年には果実が前面に出ていたが、数年経った今年に味わうと、苺やラズベリーに、薔薇のポプリや甘いスパイスなど熟成香が加わり、さらなる進化が見られた。

今年9月の収穫では、同メゾンの畑で、クリスタル・ロゼになるピノ・ノワールの収穫を手伝い、厳格にブドウを選ぶ過程を目の当たりにした。クリスタルのブドウは全てビオディナミ農法で育てられている。

3. Chartogne-Taillet 1978



シャルトーニュ・タイエ(Chartogne-Taillet)は、メルフィ村に拠点を持つ、15世紀からブドウ栽培を行なっている歴史ある栽培醸造家だ。当主のアレクサンドルが、2006年に父からドメーヌを引き継ぎ、畑を抜本的に改革し、今では世界的に注目されるシャンパーニュとなった。

年初にアレクサンドルを訪問した時に一緒に試飲したのが、この1978年。過去の貴重なバック・ヴィンテージの試飲は、ワインを通じて、その当時にタイムスリップできる特別な体験だ。ふんだんな熟成香の中にも溌剌とした活力が印象的で、長い熟成にも耐え得る、シャンパーニュの底力を感じた。

シャンパーニュ地方は伝統的なワイン産地だが、歴史ある作り手の革新や若い世代の台頭など、毎年変化が感じられるのも面白いところ。2020年も、また新しいワインや作り手に出会えるのが楽しみだ。

文・写真=島 悠里

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