ライフスタイル

2020.01.02 12:00

「カロリー消費に必要な運動量」表示の提案に、賛否両論


栄養士の資格を持ち、公衆衛生分野の活動家でもあるジェニー・ロズボロー(Jenny Rosborough)も、さらなる研究が必要だという意見に同意する。「カロリー摂取量を減らす方法については国民レベルで考える必要があるが、このアプローチには微妙な点が多い。パッケージ上では必要なことを伝えきれないため、意図していなかった結果につながる可能性が大きい。本当に役に立つかどうかを判断するためには、影響を受ける人のことをもっとよく理解する必要がある」

イギリスにおいて、脂肪、飽和脂肪酸、糖類、塩に関して、赤と黄色と緑色で「健康度」を表す信号形式の栄養成分表示については、表示が義務づけられているわけではないものの、公衆衛生の専門家は効果があると考えている。また、全体的な栄養品質をもとに食品を格付けするシステムも、導入が話し合われている。

信号形式の表示システムは便利だが、カロリーを通じたエネルギーの摂取と消費に関する一般の人たちの理解は限られている。そのため、そうした情報を実用的な形で伝えられる新たな方法を模索することにはたしかに意味がある。

とはいえ、「カロリーを消費するのに必要な運動量を表示するシステム」が答えになるかは疑問だ。前述の論文を書いた研究者らによれば、このシステムによって減少するカロリー摂取量は、合計でわずか80キロカロリーだった。これは統計的には有意な数字だが、臨床的な意味を持つ可能性は低い。それを考えれば、効果が出る可能よりも、害を及ぼす可能性のほうが大きくなりそうだ。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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