エディター、ライター

クォーツ、SSケース、38×27.5mm、37万円(カルティエ カスタマー サービスセンター 0120-301-757)

今年の時計界は、50周年の記念モデルが非常に多かった。なぜかというと、50年前の1969年に3つの画期的な出来事があったからだ。

まずは、現在も多くのモデルに搭載されている自動巻きクロノグラフムーブメントが誕生した。これには6社が関わり、3つのムーブメントが誕生している。2つ目は、クォーツ時計の登場。それから、オメガのスピードマスターが月面着陸した宇宙飛行士の腕に巻かれていた、ということであった。

そんなこともあって、記念モデルやそれに近いモデルを購入する人も結構いたと思われる2019年だが、個人的にはそれらに食指が動くことはなかった。オッと思えるヴィンテージウォッチに出会うこともない1年だったが、今年発表された新作には目を奪うものもあった。そんななかから「欲しい!」と思った3本を紹介したい。


1.カルティエ サントス‐デュモン ウォッチ SM

レトロ調の「サントス」。オリジナルのデザインをかなりの割合で受け継いでいるが、復刻ではなく、現在まで受け継がれてきた現役のコレクションである。

エッジをきかせた角型のケースで、ケース側面からラグへのなだらかな曲線という個性的なデザイン。ダイヤルにはローマ数字のインデックスにバトン針を採用。さらにリューズにはパール状の飾りがつき、その先端にはブルーカボションという遺産が受け継がれている。スポーティでありながら、パリの幾何学的な美意識が息づいた、普遍のエレガンスが宿っている。

搭載する動力はクォーツムーブメント。誕生から50年経って、消費電力を抑えた画期的なものが登場。約6年間にわたって高精度で連続作動する長寿命化を実現している。それは従来のクォーツ・ムーブメントの約2倍のパワー。電池寿命が長いことで、電池交換というクォーツ・ムーブメントのデメリットもしっかりとクリアしている。

クォーツもいいね、と思わせる1本である。

2. ブライトリング ナビタイマー Ref.806 1959 リ・エディション


手巻き、SSケース、40.9mm径、98万円(ブライトリング・ジャパン 03-3436-0011)

“プロのための計器”という商品哲学のもとに発展してきたブライトリング。その象徴が「ナビターマー」。パイロットウォッチの指標的存在でもある。

なかでも、初期に発売された1959年の手巻きモデルはとくに印象的で、60周年を迎えた今年、“リ・エディション”モデルとして再登場した。復刻モデルはダイヤルデザインを少し変更したり、色味をモダンにしたりすることがあるのだが、この“Ref.806 1959”は59年当時のデザインを見事に踏襲している。

ダイヤルはブラック。サブダイヤルもトーンオントーンである。ムーブメントは自社製「キャリバー01」をベースに新たに開発されたCOSC公認クロノメーター「キャリバーB09」を搭載。残すべきところはしっかりと残し、機能だけを向上させた、素晴らしい復刻モデルである。

3. ブレゲ 5177 グラン・フー・ブルーエナメル


自動巻き、18KWGケース、38mm径 257万円(ブレゲ ブティック銀座 03-6254-7211)

ブレゲらしく、インデックスはブレゲ数字で、時分針はブレゲ針、そして、ホワイトゴールドのケースには、コインエッジ装飾が施されている。さらに、ダイヤルのグラン・フー・エナメルの深いブルーが美しい。まさに王道のドレスウォッチである。

2017年に銀座ブティック10周年のスペシャルエディションが発表されており、それが原型となっている。今年の新作には日付表示が加わえられている。構成要素が増えてもデザインの邪魔をせず、むしろ上手に調和した仕上がりとなっており、グラン・フー・エナメルのブルーに溶け込んでいる感じである。

ケース厚も自動巻きにして8.8mmとドレスウォッチに相応しい。ブレゲの魅力を余すことなく詰め込んだ、珠玉の1本といえるだろう。

文=福留亮司

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