ビジネス

2019.12.31

世界最高の格安航空会社は? 2019年ランキングと来年の展望

エアアジア/Getty Images


ランキング2位のイージージェットが来年もこの座を維持することは難しいかもしれない。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明性や欧州での需要の減退が、同社の顧客数に影響を与え始める可能性がある。私の意見では、2位になったこと自体が非常に意外だ。同社の遅延便は2018年第1四半期だけでも2万2000件で、英消費者協会(CA)によれば、同社は2017年、遅延の面で最悪の英航空会社となった。ここ1年で改善があったようだが、この順位付けはライアンエアーと比べて歪んでいるかもしれない。

ライアンエアーはイージージェットと比べてはるかに大きく、顧客の苦情処理数もはるかに多い。こうした苦情は主に、ライアンエアーが提供するサービスが非常に質素なことにある。同社ではあらゆるサービスが有料で、自宅で搭乗券を印刷するのを忘れた時にさえ料金を請求される。しかし、私が以前執筆した記事で述べたように、ライアンエアーは真のLCCだ。ランキング入りした他の一部の企業と違い、同社の価格はそれを反映している。

安いものを買っておきながら必要最低限のサービスしか提供されないことに文句を言うことは、見当違いに思える。また、イージージェットの平均価格をライアンエアーと比べれば、顧客からの苦情も相殺されるだろう。私はこの2社の順位が、来年はずっと近づくだろうと思う。

ノルウェジアンはこの順位に値する企業だが、急成長を経た現在は資金繰りに苦慮している。同社は来年、コスト削減と事業の合理化を行うだろう。それによって成長の一部側面においては苦戦を強いられるかもしれないが、独立を保ったとしてもどこかの企業に買収されたとしても、上位を維持するはずだ。

14位のピーチは、知名度が低めかもしれない。運賃がより高いフルサービスの航空会社に焦点が当てられてきた日本で、初のLCCとして登場したのが同社であり、東京五輪が来年に迫る中、同社が成功を続けると私はみている。日本発着の格安航空便が生まれ、エアアジアが事業を拡大していることもあり、価格競争が確実に起きるはずだ。これは、大規模で人気の高い日本の市場が必要とするものだ。

人々に好かれようとも嫌われようとも、LCCは世界中で拡大を続けている。大手航空会社の多くは現在、短距離線で事実上の格安便を提供しており、価格で勝負するためサービスを削っている。今後数年で、LCCの価値とその評価は世界の乗客輸送分野でより大きな注目を集めるようになるだろう。

編集=遠藤宗生

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