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2019.12.29

ビル・ゲイツが資産を増やしてきた道のりとその使い道

ビル・ゲイツ(by gettyimages)

マイクロソフトの共同創業者として知られる、ビル・ゲイツ。

総資産は1000億ドルを超えるとされる彼は、どのように資産を増やし、それを何に使ってきたのだろう。資産に関する言動から、ビル・ゲイツの哲学を紐解く。



総資産1000億ドル超えへの道筋と戦略

幼少期からの友人であるポール・アレンとマイクロソフトを共同創業したのは、1975年。86年に株式市場に上場した。

現在もマイクロソフト株の大半を持つと思われがちだが、彼のマイクロソフト株の割合は12.5%以下になっているという。

ゲイツ自身が設立した投資会社「カスケード・インベストメント」を通して保有している株式ポートフォリオには、長者番付の常連で友人のウォーレン・バフェットの会社「バークシャー・ハサウェイ」も入っている。

これらの銘柄を入れ替えながら着実に増やしているのは、ファンドマネージャーのマイケル・ラーソンだ。

ほとんどメディアに登場することがない彼の素性は謎に包まれているが、「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」の資産運用も任されていることから、ゲイツから大きな信頼を得ていることは間違いない。

ゲイツは他にもアリゾナ州のスマートシティ構想や、人造肉のベンチャー企業「ビヨンド・ミート」、地熱プロジェクト開発会社にも投資をしており、対象分野は多岐に渡る。

莫大な資産を維持するどころか増やし続けている秘密は、ポートフォリオを分散させるという株式投資の王道にあると言えるだろう。

ビル・ゲイツの発想や思想に影響を与えてきた読書量の多さ

ゲイツは子供の頃から読書の虫として知られていて、10歳を迎える前には、自宅にあった百科事典を読破していたという。あまりの没頭ぶりに、夕食の席で読書をすることを親から禁じられていた。

学生時代からトートバッグに大量の本を入れて持ち運ぶ姿を友人に目撃されており、2019年9月、ネットフリックス(NetFlix)が配信した「天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する」にも本を詰め込んだトートバッグが頻繁に登場する。

時間を確保し、集中して読み進め、余白にメモをしながら能動的に読んでいくのがゲイツ流。ゲイツの発想や思考には、彼の読書習慣が大きな影響を与えている。

質素倹約で知られるビル・ゲイツが買って後悔したもの

ゲイツはマイクロソフトCEO時代から質素倹約を重んじていたことで知られる。飛行機に乗る際にはエコノミークラスを利用し、マイクロソフトのスタッフがファーストクラスのチケットを用意した際には、無駄遣いだと激怒したとのエピソードもある。

ホテルに泊まる際にも高級さや広さを求めることはなく、寝る場所があり、インターネットがつながれば満足だったという。

そんなゲイツが買って後悔しているものは、プライベートジェットとポルシェ。ゲイツは後に、プライベートジェットを「後ろめたい喜び」であり「大きな散財」と表現し、ポルシェについては「道楽だった」と振り返っている。

ちなみに、アメリカの投稿型ソーシャルサイト「Reddit」の「AMA(Ask Me Anything: 何か質問ある?)」という企画に参加した際に、ゲイツは「私は自分のために洋服や宝石に多くのお金を使うことは嫌いだが、奥さんのために素敵な洋服や宝石を買うことは楽しいことだ」と明かしている。

貧困問題への解決に力を注ぐ

ゲイツが最も自分の収入、資産をつぎ込んでいるのが寄付だ。

年間約50億ドルの寄付を行っているビル&メリンダ・ゲイツ財団は、設立から2018年末までに、すでに累計500億ドル以上の寄付を行ってきた。その多くは途上国の貧しい人々向けの医療サービスへのものだ。

「すべての生命の価値は等しい」という信念の下、最貧困層の自立を支援し、すべての人が健康で充実した人生を送る世の中の実現を目指しているという。

ワクチンの開発や女性の教育支援、アフリカのトイレの設置事業への巨額の資金援助など、その取り組みは多岐に渡っている。

自らの理想の実現のために、資産を惜しみなく注ぎ込んでいるゲイツ。彼の質素倹約や読書習慣には、資産構築のヒントになる哲学や行動も多い。

文=ヤムラコウジ

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