12月20日金曜日に、テスラの株価は史上最高値の405.59ドルで取引終了を迎え、前日の404.04ドルを上回った。テスラの株価は創業以来で初めて、400ドルを突破した。フォーブスはマスクの現在の保有資産を261億ドル(約2.9兆円)と試算している。
テスラ株の値上がりは、同社が10月23日の第3四半期決算で1億4300万ドルの利益を報告して以来続いている。同社のモデル3セダンの売上は好調で、他メーカー向けのZEVクレジット(温暖化ガスの排出枠)の販売でも利益を得ている。
「テスラは今後しばらくの間安泰だ」とJMP SecuritiesのJoseph Oshaは述べる。「2020年の前半までにテスラの競合となる企業が台頭する可能性は低い。アウディのe-Tronは失敗だったし、メルセデスの電気自動車EQCも投入が遅かった。ポルシェのタイカンはスタイリッシュな高級EV路線を打ち出したが、性能はモデルSとさほど変わらない」
ベースモデルの価格が4万ドルからのモデル3の需要は高く、競合するモデルは市場に存在しないとOshaは続けた。「2019年の終わりにもなって、マス向け市場でテスラのモデル3に匹敵する車両が存在しないのは、驚くべきことだ」と彼は話した。
2020年を迎えるにあたり、テスラは上海に新設した工場でモデル3セダンの製造を開始し、中国向けの需要に応えようとしている。これによりテスラは、大幅な増産と売上増を達成する見通しだ。
ここ数週間のテスラ株の上昇の背景には、長期的スタンスで市場を見る投資家の参入があるとOshaは分析した。「テスラの時価総額は今年、400億ドルから700億ドル台にまで拡大した。投資家は今後のさらなる成長を見込んでいる」
現状のペースで株価の上昇が続けば、テスラの株価は420ドルに達することになる。420ドルというのは、マスクが2018年8月にツイッターで「1株420ドルでテスラを買い戻そうと思っている。資金は既に手にいれた」と宣言し、非公開化をほのめかした際の株価だ。
ちなみに420(フォー・トウェンティー)は大麻を意味する隠語でもある。マスクのこのツイートを米国証券取引委員会(SEC)は「虚偽の情報の流布」にあたるとして提訴し、4000万ドルの罰金の支払いを求めていた。マスクは罰金を支払うと同時に、テスラの会長の地位を失っていた。
しかし、それから1年と数カ月が経過した今、テスラを取り巻く状況が大きく変化したことは明らかだ。