砂押貴久のエモーショナルライフ


そして、今はもう一つの楽しみがある。

ある日、「お父さんの写真を使っていい?」と相談してきた息子(原田泰西)が、今年、「ⅢPIC(スリーピック)」というブランドで故・原田澄の写真を使ったアパレルブランドを起業した。

20歳でファッションブランドを立ち上げるのは業界でみても速いが、こうしたスピード感も両親の才能を受け継いでいるかもしれない。


原田澄の作品をつかったTシャツ 写真提供:ⅢPIC

インタビュー中、「周りの人に恵まれていた」「モヤモヤ」という表現を繰り返した尾留川代表の言葉に、人に好かれる人間性と違和感への対応力の高さを感じた。また、実践で鍛え上げたてきたからこその強さも伝わってきた。インタビューを終え、「いつか尾留川さんと協業ができたらいいな」と心から思った。

最後に一つ。

いつもなら、筆者が取材対象者を撮った写真を原稿に使用しているが、原稿を書き終え、ふと頭をよぎった。「尾留川さんが共にしたクリエイターに撮ってもらうのはどうだろうか?」と。そう相談すると尾留川代表も快諾し、クリエイターも善意で集まった。

師走にも関わらず、「尾留川さんのためなら」と、雑誌の表紙撮影レベルのスタッフが初めて一緒に撮影した。撮影時間はわずか25分。

シャッターが切られ、映し出させるモニターを観た瞬間……「ダメ元で相談して良かった。このメンバーで撮れて良かった」と胸にしみた。約25年間、クリエイター共に走り続けた人生がそこに凝縮されていた。


(左から)
Photographer : HIRO KIMURA (W)
Stylist : Yumiko Miura (W)
Hair & Make : Michou.(C-LOVe CREATORS)

文=砂押貴久

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