3. The Fabricant(オランダ):史上初のデジタルファッションが落札
約100万円で落札されたThe Fabricantのデジタルファッション
上記2つとは異なるジャンルだが、3Dのデザイン用ソフトウェアで精巧に作られたバーチャル上の衣服「デジタルファッション」が、2019年に初めて、ニューヨークのオークションで、ブロックチェーン取引によって約100万円で落札されたニュースをご存知だろうか。
手がけるのは、アムステルダムを拠点としたスタートアップの「The Fabricant」だ。インスタグラムなどSNS上でVTuberやバーチャルモデルが話題になる中、インフルエンサーにとって新たなニーズと世界観を生み出した。
川崎は「若者の新しいアクティビティとして、バーチャル空間でオリジナルの服を着るということが盛り上がるかもしれない」と語る。さらに別の展開についても、こう予測する。
「すでに実店舗よりもEC販売が好調なブランドも多いですが、直接触ったり、着たりすることができなくても、よりリアリティを感じられる『デジタルファッション』が、ECの機能を拡張していくと思います」
「ファッションテック」の次は何が来る?
川崎は2019年のファッション業界について、「ファッションとテクノロジーを掛け合わせた取り組みが、実験から実装に変わる年だった」と振り返る。また、「サステナビリティとデジタルが当たり前になる最初の年でもあり、今後はファッションテックという言葉も必要なくなっていくでしょう」と語る。
さらに「ファッションテック」の次には、「ビューティテック」が注目されると推測する。
2019年にはディオールの研究開発施設「LVMHリサーチ」が、ノーベル生物学・医学賞を受賞した山中伸弥が率いる「京都大学iPS細胞研究所(CiRA)」とともに、「皮膚代謝メカニズムに関する共同研究」を始めることを発表した。川崎は「若返りや肌の再生など、美しさをバイオテクノロジーで拡張していく動きだと思います。ファッションとともに美容分野でも、バイオの応用を模索している段階で、2020年はますます注目されるはず」と未来予測した。