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2019.12.23

食品廃棄の削減を目指す米スタートアップ、ウォルマートも注目か

Morinka / Shutterstock.com

持続可能性を重視する動きが高まりを見せるなか、出荷規格外の(形の悪い)農産物などを無駄にせず、食品廃棄物を減らそうとするスタートアップがベンチャーキャピタルや投資家たちの注目を集めている。

コロラド州を拠点に4年前に創業したフードメイヴン(FoodMaven)はオンラインのマーケットプレイスを通じて、農家や食肉加工業者、食品流通業者がこれまで埋め立て処理してきた規格外の農産品や過剰在庫の買い手を見つけるサービスを提供している。

同社は先ごろ、シリーズBラウンドで1530万ドル(約16億7000万円)を調達。これまでに調達した総額は3440万ドルとなった。主な出資者には小売最大手ウォルマートの創業家、ウォルトン一家のメンバーらも含まれている。また、同社の取締役にはスーパーマーケット・チェーン、ホールフーズの元共同最高経営責任者(CEO)、ウォルター・ロブも名前を並べている。

フードメイヴンのベン・デーダ最高経営責任者(CEO)は食品廃棄物について、「解決すべき大問題への理解は確実に深まっている」と語る。

「米国の食糧供給量の40%が廃棄されている。そこには相当量の、消費にまったく問題がない食品が含まれている。流通経路を確立できない食品が大量にある」 

フードメイヴンが販売する食品は、相場より平均30%安値だ。同社は今後、州外にもサービスを拡大する計画で、まずはテキサス州のダラスとフォートワースで事業を開始。いずれは全米規に拡大することを目指している。

生鮮食品については、最終物流拠点から届け先までの「ラストマイル」の配送をタイムリーに行うことが極めて重要だ。デーダは小規模な配送業者の買収を通じて、配送事業にも力を入れていく考えだ。

食品廃棄への取り組みは成長産業

スタートアップのデータベースを運営する米クランチベースは、食品廃棄の問題に取り組む非営利団体リフェッド(ReFED)の調査結果を紹介している。それによると、この問題への対応を事業としている米国のスタートアップは2018年、合計30件以上の資金調達を実施。民間で総額2億2400万ドルを調達した(年間の調達件数と調達額は、いずれも過去最多を記録)。また、今年は11月までに14件で総額6300万ドルが調達されている。

フードメイヴン以外のスタートアップには、食品の保存可能期間を延長する「Apeel Sciences(アピール・サイエンシーズ)」や「Hazel Technologies(ヘイゼル・テクノロジーズ)」、規格外の農産品を安値で消費者に直接販売する「Imperfect Foods(インパーフェクト・フーズ)」「Misfits Market(ミスフィッツ・マーケット)」などがある。生ごみを肥料に変えたり、家庭ごみをジェット燃料に変えたりすること事業化しているスタートアップもある。

ReFEDによると、米国では消費されない農産物の栽培と食品の生産、それらの加工、輸送、廃棄に年間およそ2200億ドルが費やされている。農務省は国内で供給される食料の30~40%が廃棄されていると推計しており、その量を2030年までに半減させることを目標としている。

また、国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界全体では毎年、生産された食品の3分の1にあたる13億トンが廃棄されているという。廃棄される食品は金額に換算すると、先進国で毎年およそ6800億ドル、途上国で同3100億ドルになる。

編集=木内涼子

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