返品に関して言えば、実店舗がある小売店のほうが有利だ。実店舗で購入された商品の返品コストは、配送センターに商品が送り返される場合のおよそ半分で済むと、経営コンサルティング企業「アリックス・パートーナーズ(AlixPartners)」は指摘している。
過去には、データ分析を利用した小売店が、返品システムを悪用したと見られる顧客からの返品を禁止したケースがある。
BrainTrustにコメントを投稿した専門家の一部は、データを活用して返品の削減につなげるほかの方法も指摘している。
コンサルティング企業「マーチャンダイジング・メトリクス(Merchandising Metrics)」の共同設立者ジェフ・スウォード(Jeff Sward)は、「小売店はいまや、返品される可能性が最も高い商品や商品カテゴリーがどれかというデータを持っている」とコメントしている。「マーケティングはオンラインで行うが、購入と返品については実店舗で行うよう促す、より賢い方法があるべきだ」
BrainTrustに投稿したほかの専門家は、無料返品ポリシーを悪用した、最も悪質かつ違法なやりかたを防ぐために、バックエンド・テクノロジーを使うことを勧めている。
小売業界のソートリーダーとして知られるケン・モリス(Ken Morris)は、「この分野で詐欺行為を削減・排除するひとつの方法は、商品にシリアルナンバーを打つことだ」と述べている。「大規模な電子伝票システムで現在活用されているやり方で、消費者に販売する商品に割り当てられたシリアルナンバーを追跡することができる。商品が返品されたら、返品管理システムが、その商品とeレシート上のシリアルナンバーが一致するかを確認し、合致しない場合は返品を拒否する。小売店側は、できるだけ早くこのやり方に移行して、すべての商品に導入する必要がある」
コンテンツ・マーケティング・ストラテジストのローラ・ゴーラー(Laura Goller)が、返品コストを削減するための方法として期待できると話すのが、ユーザー対応技術だ。
「拡張現実(AR)に資本を投じ、消費者が購入前に商品を試せるようにして、返品を最低限に抑えようとしている小売業者が増えている」とゴーラーは言う。「化粧品専門店のセフォラ(Sephora)や、家具量販店のイケア(IKEA)、メガネブランドのワービー・パーカー(Warby Parker)といった小売店は、ARを導入して、消費者が購入を検討している商品を、より現実的かつパーソナライズされたかたちで試せる手段を提供している」