スポーツビジネスの今後の飛躍に欠かせないのがビジネスマインドをもったプロの経営者だ。Bリーグの大河正明チェアマンや横浜DeNAベイスターズの岡村信悟社長など、異業種でビジネススキルを培った人材がスポーツビジネスで活躍する例は増えてきたが、日本ではまだまだ専門人材は少ないと言われる。
そんななか、海外でスポーツビジネスを専門に学び、グローバルビジネスを展開しているのがブルー・ユナイテッドCEOの中村武彦だ。米メジャーリーグ・サッカー(MLS)を経てFCバルセロナの国際部ディレクターとして活躍し、2015年に米ニューヨークで同社を設立した。なぜ専門人材が必要なのか。中村に話を訊いた。
──スポーツマネジメントを専門にしようと思ったきっかけは何ですか。
中村武彦(以下、中村):幼少期を過ごしたアメリカでサッカーに出合い、大学でも体育会サッカー部に所属していました。卒業後、NECに入社してスポーツとかかわりがない仕事をしていましたが、興味がもてませんでした。
また、自分は法学部を出ただけで何の資格もなかったですが、アメリカに出張すると、MBA保持者や会計士などの専門家が場面ごとに出てくる。法学部を出ただけの日本人がセールス現場に出てくるので怪訝な顔をされました。大好きなサッカーの仕事でエキスパートになる道はないものかと模索し、マサチューセッツ大学(UMass)アマースト校スポーツマネジメント学部の修士課程にたどり着きました。
──スポーツチームの経営にプロのビジネス人材が必要なのはなぜですか。
中村:競技チームが勝利を目指すのは当然ですし、そこにお客さんは感動するのですが、かといって勝たなければ集客できないようなビジネスモデルでは経営は成り立たない。リーグ優勝できるのは1チームだけで、それ以外は負けてしまう。勝つことを前提にしたビジネスモデルではいけないんです。
チーム力の強化はGM(ゼネラルマネージャー)が担い、ビジネスマインドをもった経営者がスタジアム経営や放映権、商業収益などで経営を担う。そしてより優秀な選手を獲得し、勝利を目指す。GMとビジネスデベロップメントの両輪で推進すれば、おのずと常勝チームが出来上がります。