「不況知らず」の米経済、現時点でのリスク要因を考える

Spencer Platt/Getty Images


景気後退の不安が一段落した株式市場

株式市場自体も、景気の先行指標としてはまずまずの正確性を持つ。S&P500指数は2019年、年初比で約27%上昇した。そのため、景気後退に対する株式市場の懸念は収まっているように見える。特に2019年初頭には、一時的に経済成長の先行きを懸念する見方が広がっただけに、今は一段落した感がある。というわけで今のところ、株式市場は景気後退についてそれほど深刻な不安はない状況だ。

景気後退を懸念すべき理由は?

それでも、用心するに越したことはない。繰り返しになるが、逆イールドが発生した場合、これまでのケースでは1年以内にかなりの確率で景気が後退している。そして現在は、今回の逆イールドが始まった2019年3月から、まだ1年経過していない。

同様に、過去の事例から考えると、失業率はさらに下落するよりも、上昇する可能性が高い。確かに、過去50年以上なかったような低失業率状態が今後も続くのかもしれないが、過去のパターンに従うとすれば、今後数年以内に失業率が悪化する確率の方が高い。

最近取り沙汰されていた景気後退のリスクに対する懸念は、ひとまず人々の脳裏から去ったかもしれない。それでもリスクは変わらずに存在する。とはいえ投資家の立場としては、景気後退を懸念する声は無視し、資金を引き揚げずに投資を続けるのが、過去の事例から見て健全な戦略であることは、頭に置いておくべきだろう。

もう1点。次に米国を襲う景気後退は、2008年から2009年にかけてのリーマン・ショックの時期に比べればずっと穏やかなものになる可能性が高い。というわけで、緩やかな景気後退の影はちらつくものの、投資家がこれを必要以上に心配するのは生産的とは言えないだろう。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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