マライアは1994年のアルバム「メリー・クリスマス(Merry Christmas)」の収録曲として「恋人たちのクリスマス」をリリースしたが、当時はシングルとして発売されていなかったため、ビルボードのチャート入りを果たすことができなかった。
その後、1998年12月にシングルとして未リリースの曲もチャートインできるようになり、2000年1月には初めてトップリスト入りを果たした。さらに、2012年にビルボードがチャートの集計方法を変え、有料ストリーミングの再生回数を加算するようになって以降、「恋人たちのクリスマス」の本格的なリバイバルが始まり、2017年にはトップ10圏内に入った。
そして、2018年に最高3位を記録したこの曲は、今年ついにチャートのトップに立ったのだ。
25年前の曲が首位を記録するのは極めて異例の出来事だが、マライアは今週、音楽業界における別の偉大な記録を達成したことでも注目を浴びている。ビルボードによると、彼女は現在「音楽業界で最も長い期間、ナンバーワンの地位であり続けた」アーティストになったという。
マライアが初めてHot 100の首位に立ったのは1990年のデビュー曲「Vision of Love」で、今から29年と半年前のことだった。これほど長い期間、トップアーティストで居続けたシンガーは他には居ないという。
ビルボードによると、これまでの最長記録保持者は1999年の「ビリーヴ」でチャート1位に立った女性シンガーで女優のシェール(Cher)だった。シェールは1971年に「悲しきジプシー(Gypsys, Tramps & Thieve)」で首位を記録しており、トップアーティストで居続けた期間は27年と半年とされていた。
ただし、現在73歳のシェールは1960年代に、ソニー&シェールというデュオで歌手活動をしており、1965年には「I Got You Babe」を全米1位に送り込んでいた。つまり、ソロ活動以前の時代も含めると、シェールは33年以上もの間トップアーティストで居続けたことになる。
しかし、1990年代以降のマライアが音楽業界で目覚ましい活躍を果たしたことに疑いはない。「恋人たちのクリスマス」を除いても、彼女は合計18曲をチャート1位に送り込んでいた。数曲のヒットを残して消えてしまうアーティストが多い中で、クリスマスの女王マライアは、他のシンガーを圧倒する記録を打ち立てたのだ。