マツダ3を語るには、スカイアクティブXを無視できない。この技術はかなり複雑だが、手短に説明すると、2.0リッターのスカイアクティブXの最大メリットは、ディーゼルとガソリンエンジンの一番おいしい特徴を両立させているということ。つまり、ディーゼルの燃費の良さと、そしてガソリンの高回転でのレスポンスという長所がうまく融合しているのだ。
さて、実際乗ってみると、どんなクルマなのか。
1500回転以上出すと、さりげなくディーゼルっぽい音が聞こえてくるが、決して嫌な音ではない。4500回転以上踏み込むと、不思議なことにエンジンのフィーリングや音は少しスポーティなガソリンエンジンの音に変わる。でも、1500から6000回転までガソリンエンジンのように元気に加速するし、高回転域では幅広いレスポンスをしてくれる。
マツダ3の外観とスカイアクティブXは、同社の新しい出発点なので、今後にさらなる期待をしたい。
その「低さ」は真似できない
PORSCHE TAYCAN
最後にポルシェ・タイカンだ。「タイカン」というエポックメーキングなこのポルシェ車は、これからのEV作りを決定的に変えてしまうに違いない。初めて運転席に座った瞬間に、2030年にタイムスリップした気分だった。その速さ、その走りは別の次元だから。
タイカン・ターボ仕様は680馬力、ターボS仕様は750馬力を発揮し、しかもターボSの最大トルクはなんと1000Nm。ちなみに、0-96km/h(米国基準の0-60mph加速)の加速は、2.6秒と日産GT-R NISMOより速い。
世界初の800V系の駆動システムには、モーターは前輪に1つ、後輪に1つという4WDレイアウトであり、バッテリー、インバーター、モーターなどはすべて超低いポジションに配置。実をいうと、航続距離420km以上のタイカンの低い車高、そしてそのパッケージングは業界を圧倒している。
どうやってポルシェは911よりも低重心のクルマが作れたのか、バッテリーとかインバーター、または2つのモーターをなぜそんなに低く載せられたのか、不思議でしょうがない。
業界では小さな革命を起こしていて、すべてのカーメーカーはどうにかタイカンを1台購入して、社内でバラしてその製造の秘密を探るのではないかと思う。
数多のEVが登場してくる中で、タイカンのハンドリングには、力強い接地性と業界一流のスタビリティーが感じられた。ロー&ワイドで、しかも低重心設計になっているので、タイトなコーナーで左右に振っても、まったく不満を覚えなかった。
近い将来、クルマを買い求めるつもりがあれば、上記の3台をぜひ候補に入れて試乗してみてはいかがでしょう。メリークリスマス!