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2019.12.27

フリーランスとの仕事が当たり前の時代、企業はどうあるべきか。カンファレンス『TEAM UPDATE』で見えた未来の働き方

(左より)Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春、「インクワイア」代表取締役社長のモリジュンヤ、幻冬舎「あたらしい経済」編集長の設楽悠介

「働き方改革」「副業解禁」「ギグエコノミー」──社会が大きく変化しつつある中で、企業や組織も変革が求められている。正社員だけでなく、様々なスキルとバックグランドをもつフリーランスと一緒に仕事をこなしていく新たな組織作りが必須の時代となってきた。

フリーランスや副業社員も巻き込んだチームのあり方を考えるイベント『TEAM UPDATE』がpasture(パスチャー)主催で2019年11月、東京ミッドタウン日比谷のBASE Qホールで行われた。フリーランスが活躍する現場から聞こえてくる、リアルな現状に耳を傾けたい。


「エン・ジャパン」pasture(パスチャー)事業責任者 高澤真之介が開会の挨拶


50%の企業が副業解禁。フリーランスが求められる時代に

セッション第1部は、「フリーランスがもたらす、企業成長と多様性のあるチームの実現」というテーマで、老舗鞄メーカー人事部人事開発課課長の西島悠蔵、「議論メシ」主宰の黒田悠介、「HARES」CEOで複業研究家の西村創一朗が登壇した。

西村創一朗(以下西村):フリーランスを取り巻く環境ですが、現在、9割の企業に人材が不足している部門があることがわかっています。続いてフリーランス人口は2018年時点で1100万人を超え、増加傾向にあります。また、検討企業も含めれば50%ほどの企業が副業解禁。フリーランスが求められている時代かと思います。では、チーム作りのポイントはいかがでしょう。


「HARES」CEO 複業研究家 西村創一朗

黒田悠介(以下黒田):私が主宰している「議論メシ」は、フリーランスや副業の人も含む180人ほどのコミュニティです。いろんな企業と議論し、中の人と繋がりを持って新しい仕事に繋げています。企業の方と会って、議論をするなか相性を見てもらい、「この人とだったら」と感じてもらえたメンバーが企業と契約するシステムです。メンバーとは、小さなことから始めてみて段階的に範囲を広げていきます。

西村:フリーランスや副業の人にいきなり大きく任せてはいけない、ということですね。

黒田:例えばコワーキングスペースのコミュニティマネージャーは複雑な業務なのですが、「やります」と言ったフリーランスの方にお任せしても、限定的なことしかできなかったケースがありました。曖昧な言葉や、流行りの言葉を使う人は危うい。

西村:フリーランスに任せるには、「何を任せるのか、それには何が必要か」を明確にすることが重要ですね。


「議論メシ」主宰 黒田悠介

西島悠蔵(以下西島):私は会社で人事をやりながら、6社ほどで副業をしています。いざ仕事を任せると企業サイドから「これもできる?」と、追加のお願いがでてくるので、スタート時のすり合わせは大切だと思います。また、「フリーランス」「業務委託」のようなラベリングのようなものを意識しすぎないようにしたいですね。プロジェクトを推進するメンバー、パートナーとしての感覚が大切です。


老舗鞄メーカー 人事部人財開発課 課長 西島悠蔵

西村:「この人は業務委託」というラベリングをすると、強固な関係性が作れない例はあると思います。

黒田:フリーランスは豊富な知見と働き方を知っているので、企業側は「これがうちのやり方なんです」というより、「あなたはどうしたいですか?」と、双方向ですり合わせると良いかと思います。また、フリーランスには「異分子」としての役割もあるので、企業側にリスペクトがある方が働きやすいです。

「フリーランスに仕事を任せるときには、権限、裁量を明確にすると同時に、プロジェクトスタート時のすり合わせが重要」「発注する企業は、フリーランスに対してリスペクトすると共に、プロジェクトを推進するメンバー、パートナーであるという感覚が必要だ」といった指摘があった。企業に求められているのは、フリーランスを尊重する姿勢であることが分かるセッションだった。


フリーランスから「選ばれる側」になった企業

セッション第2部は、「外部人材の活用により事業成長を遂げてきた企業の秘訣」をテーマに、GMOクリエイターズネットワーク執行役員「フリーナンス」事業責任者の次松武大、「ガイアックス」ソーシャルメディアマーケティング事業部副部長の重枝義樹、幻冬舎「あたらしい経済」編集長・設楽悠介が議論を繰り広げた。

次松武大(以下次松): 私たちは、10年以上にわたりWEBコンテンツの制作事業を行ってきました。さらに2018年からは「FREENANCE(フリーナンス)」というフリーランス向けの金融支援サービスも始めています。コンテンツ制作事業では、当初からフリーランスのクリエイターに業務を依頼する形で事業を立ち上げており、実際、社内に社員のクリエイターは置いていません。ですので、フリーランスとどうやって一緒に仕事を作るか、気持ちよく仕事をしていくかについて考え続けています。

重枝義樹(以下重枝):ガイアックスは、ソーシャルマーケティング事業とシェアリングエコノミーの会社運営の2つの柱でやっている会社です。我々もフリーランスを外注・下請けではなく、パートナー・仲間だと思っています。対等に接することでパフォーマンスが上がるだけでなく、こちらが気づかないところまでフォローしてくれる。フリーランスの活用が増えるにつれ、単価は高騰しています。これからは、私たち企業がフリーランスを選ぶのではなく、彼らから選ばれないといけないのです。


「ガイアックス」ソーシャルメディアマーケティング事業部副部長 重枝義樹

設楽悠介(以下設楽):コンテンツの内容は社員が考えて、フリーランスは付随業務をしているようなイメージがあったのですが、実際はもっと踏み込んだ仕事をしているのでしょうか?

重枝:一緒に企画会議をしますし、業務内容の背景、なぜそれをやるのかまで共有します。

設楽:「フリーランスを外注先や下請けだと思うな」と言われても、仕事内容が大きく分かれていれば、うまくいかないでしょう。フリーランスの裁量が大きいということですよね。

重枝:はい。最終的な判断は社員がしますが、部分的に仕事を切り出して渡すのではなく、業務全体の認識を共有しながら進めています。

次松:企業には「いくらで、いつまでに、どういった内容のものを納品してほしいか」を明確にせず依頼する人が多いように感じています。言葉に出さずとも、「いつまで修正が続くのかな?」「いくらの仕事なのかな?」と不安になるはず。ですので、やってほしい範囲、納期、金額、振り込み期日を発注書などで明確にした上で依頼します。クリエイターによっては「ここまでしてくれる会社は初めてです」と言ってくれたりもしますが、企業間だと当たり前のことですよね。パートナーとしての意味を履き違えると揉めてしまう。クリエイターの力を最大限に引き出すために、最初にお金や納期、業務範囲を明文化することを強くおすすめします。


GMOクリエイターズネットワーク執行役員「フリーナンス」事業責任者 次松武大

設楽:お金のことって言いづらいですよね。

次松:言いづらいですね。でも、SNS上でクリエイターと企業が揉めて炎上するのは、だいたいお金の話なんですよ。「お金と業務範囲を決めず、ここまで要求された」とか。そうなると、発注する企業側のダメージが大きいですからね。

重枝:フリーランス活用などの取り組みを始めた最初の2年で、売り上げが5倍に伸びました。コストのかかる業務を任せられることで、社員がクライアントに使う時間を確保できるようになったんです。その結果、クライアント数が増え、社員一人当たりの売り上げも伸びました。フリーランスの方がいなければ、社員が案件に集中できる状況を作り出せなかったと思います。

設楽:増えていく案件に対応できる組織になっていたんですね。

重枝:そうです。専門知識が必要な業務は社員がやらないといけないし、クライアントとの機密事項は社員にしか扱えません。それ以外の業務をフリーランスの方々にお願いすることで、伸ばしてきました。

次松:私たちの会社はこの10年、制作事業の伸びに比して、社員数はそんなに増やしていません。事業の伸びによって、その都度、フレキシブルに社員を雇うことはできない。一方、優秀なフリーランスの方々はどんどん増えてきています。ですので、フリーランスの方々の能力をいかに引き出すかに注力しています。正直な話、はじめての方とお仕事をすると、必ずしも最初からうまく行くとは限りません。とはいえ、成果物のクオリティを落とすわけにはいかないので、一時的にダブルコストになってしまうこともあります。それでも、コミュニケーションを重ねたり、別の仕事をお願いしてみたりすると良い結果を出してくれるものです。そもそも、正社員を採用してもマッチしないことだってありますよね。躊躇せずに、踏み出してほしいと思います。

セッション第2部では、「フリーランスを外注・下請けとして選ぶのではなく、彼らから選ばれる時代になった」「クリエイターとしてのフリーランスの力を最大限に引き出すために、最初にやってほしい範囲、納期、金額、振り込み期日を発注書などで明確にすること」などが強調された。社員の負担を軽減する意味でも、フリーランスのスキルを最大限に活かせる組織づくりが必要だと認識させられた。

 
企業成長のために鍵となる外部人材の活用

セッション第3部では、「みらいワークス」代表取締役社長の岡本祥治、「シューマツワーカー」代表取締役社長の松村幸弥、「デジタルハリウッド」xWORKS事業部執行役員の齊藤知也が、「フリーランス活用の実践と課題」について意見を交わした。

齊藤知也(以下斎藤):デジタルハリウッドの在校生・卒業生のための多様なワークスタイルを実現するためキャリアサポート情報サイトを運用しています。なかでも私は卒業生の仕事のマッチングサポートをしているのですが、最近は面白い傾向があります。毎年2500人が入学するのですが、約半分がフリーランス志望であります。一般的に社会に出て経験を積んでからフリーランスというイメージかと思いますが、いまでは最初からそれを志して入学しているのです。ここは最近の変化でもあります。


「デジタルハリウッド」 xWORKS事業部 執行役員 齊藤 知也

齊藤:成功事例としては、エージェントとして企業と携わるのですが、新規事業のローンチスピードが早くて喜ばれています。というのも、IT系があるサービスを始めるときは、ワークフローをすべて一緒にやり、コーダーやマーケターや、必要なフリーランスをその都度あてがっていきます。学校なのでフリーランスのためのトレーニングという側面もあります。

岡本祥治(以下岡本):私たちの会社には「大人のインターン」というサービスがあります。業務委託で仕事をしてもらい、相性がよかったら転職してもらうのです。最初から転職ありきのケースもありますが、だいたいそれだとうまくいかない。業務委託で仕事していくうちに、相性が良いと確かめ合う方が話はまとまるのです。

これからは、フリーランス・正社員という待遇によって仕事を選択するのではなく、その時々で自分にあった働き方をチョイスする人が増えそうな気がします。次の挑戦を常に探し、やりたいことがあったら、雇用形態にこだわらないという柔軟な発想です。

フリーランスや独立起業をする人は、過去のキャリアの中でそういう働き方を目にしたことがあるんですね。だから自分の人生の選択肢にもなる。

日本の大企業にいる方の多くが一流大学を出ていますが、職場には同じようなタイプの人ばかりでしょう。ところがそこに、フリーランスや起業家がある日突然机を並べて働くと、「あれ?この働き方なに?」と感じる。その後、「私もできるんじゃないか」と思い始めて、人生の選択肢になってくるんです。そういう意味で、フリーランスは働き方の多様性を促進しているのではと思います。


「みらいワークス」 代表取締役社長 岡本祥治

松村幸弥:例えばですが、東京にいる1万人のIT人材が副業として、350万社の中小企業のデジタルトランスフォーメーションを促進することによって、50年後に日本の人口が3分の2になっても耐えうる企業を増やしていけると思います。また、地方企業で働く人にとっても、副業で働く人たちに触れることで刺激を受け、気持ちの変化が起こる可能性があると思います。副業が日本の企業を元気にする効果もあるんじゃないかと思っています。


「シューマツワーカー」 代表取締役社長 松村幸弥

企業が外部人材を活用することで、新規事業の立ち上げのスピードアップや社内で働いている人材の働き方の選択肢が広がるなどの良い影響を及ぼし、様々な側面で企業成長が見込める。企業側から見た、フリーランス活用のメリットが十分にうかがえるセッションとなった。


社員やフリーランスといった立場を超えた、これからの組織とは

最終セッションでは、「これからの組織の作り方–「個人」の時代に戦える企業とは」というテーマで「インクワイア」代表取締役社長のモリジュンヤ、幻冬舎「あたらしい経済」編集長の設楽悠介、Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春が、企業側が考えるべきフリーランスとの関わり方を語り合った。

モリジュンヤ(以下モリ):私は2011年からフリーランスの編集・ライターとして仕事をし、4年ほどして会社を立ち上げました。いまは、4名の正社員と、フリーランスのパートナーの合計50名ほどの規模で仕事をしています。正社員の働き方もフルフレックス、フルリモート、副業可にしていて、基本的にフリーランスの働き方と違いがないようにしています。フリーランスでありながら組織運営のロールを担ってもらっているケースもあり、会社員とフリーランスの境目を溶かす実験をしています。

複業の実践が進んでいる現代では、会社員としての自分と、フリーランスとしての自分が共存している人が増えていると思います。会社員として働きながら副業で別の企業の手伝いをする人もいれば、フリーランスで働きながら企業に入り込んで仕事をする人もいます。

個人と会社の関係は変わってきています。リード・ホフマンの『アライアンス』に書かれているように、個人と会社の関係や契約形態が変わったとしても切れるものではないはずです。

僕自身、フリーランスで仕事をしていたときに、仕事が完了したからといって、つながりがなくなったわけではありませんでした。2年後、会社のフェーズが変わったから改めて相談をいただいて、また仕事をする......という話もあります。

究極的には、会社と個人の関係も人と人の関係だなと思うんです。人はライフステージが変化したら、考えることや暮らし方も変わりますよね。「仕事はやりたいんだけど、1年くらい海外見て回りたい」「出産子育てに集中したい」などの変化がある。そんなときに、その変化に合わせて関わり方を柔軟に変えていく。その方が、互いに関係が持続しやすいんじゃないかと思っています。

これは、仕事におけるその人だけを見ていると難しい。次世代組織として注目されているティール組織のエッセンスに「ホールネス(個人としての全体性の発揮)」が入っていることにも納得感があります。


「インクワイア」代表取締役社長 モリジュンヤ

藤吉雅春(以下藤吉):出版業界はフリーランスと付き合う機会が多いと思いますが、気をつけているポイントはありますか。

設楽悠介(以下設楽):僕は幻冬舎で「あたらしい経済」というメディアの編集長のほか、4社くらいの取締役やアドバイザーをやって、さらに個人活動もしています。自分自身もそうですが、ここ数年でかなり働き方が多様化してきていると感じています。

今後は多くの会社がどんどんとフリーランスや僕のような多様な働き方をする人と一緒にチームを作っていく機会が増えてくると思います。インフルエンサーがメディアを選ぶようになってきたように、ビジネスパーソンが会社を選ぶようになっていく時代はすぐそこまできている。

出版業界に限らず、これから組織側が気をつけていくべきなのは、既存のチームの概念に囚われず正社員だけでなくダイバーシティをもったチームを作れるように柔軟に変化していくとこだと思っています。


幻冬舎「あたらしい経済」編集長 設楽悠介

藤吉:私もフリーランス時代に培った「成功の法則」が自分なりにありまして。Forbes JAPANは、ビジネスで成功した人を取材するのですが、彼らの成功の法則が、自分と一致しているなと感じることがある。

それはフリーランスの人との付き合い方なんですよ。フリーランスの「組み合わせ」と言っていいですね。能力のある人がいても、組織が必ず成功するとは限りません。手を組むべき相手がいるかどうかが問題なのです。


Forbes JAPAN編集長 藤吉雅春

相性のいいバディ(相棒)を外部にいくつ抱えているか。様々なシチュエーションで相手を使い分けるのです。成功している企業の経営者には必ずロールモデルとなる人や師匠、そして、相棒を外部にもっています。うまく組み合わせて課題を突破している。なので、フリーランスと付き合うことは、社会をダイナミックにしていくことなので面白いと思っています。

会社員、フリーランスという働き方の境目がなくなってきている。既存のチームの概念にとらわれず、正社員に限定しない多様な人材を抱えるチームを作ることが大切。フリーランスと付き合うことは、社会をダイナミックにしていくことにつながる。「これからの時代は、企業とフリーランスのシームレスな関係が成長をもたらす」という総括がなされた最終セッションだった。


熱狂の中、幕を閉じたイベント『TEAM UPDATE』。フリーランスとして受注する側も、彼らに発注する側も、視点が一致することが、グロースへの近道。こういった相互理解の場が、これからの働き方改革を二段飛ばしで成長させる。社員やフリーランスといった立場を超え、それぞれのスキルを最大化させるシームレスな新しい組織のかたちが垣間見えるイベントとなった。

Promoted by エン・ジャパン / text by Forbes JAPAN BrandVoice Studio / photographs by Miho Noro

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