原子力発電所の現場では危険を伴う場所も少なくない。そのため、人間の代わりに、リスクを回避して作業をしてくれるロボットの開発に踏み出した。その代表的な製品が、自律走行ロボット技術「ReFRO(リフロ)」と、空間3Dスキャナー「Be THERE(ビーゼア)」の2つだ。
リフロの上にビーゼアを乗せて自律走行させれば、無人で進みながら、周辺環境を瞬時に3Dスキャンによってデータ化してくれる。人間が足を踏み入れづらい場所でも、環境を立体的に測定することが可能になる。その画期的なロボット技術は、現在開発中で、建設現場や未開拓地域など今後の活用ニーズも幅広い。
長年、原発の現場のニーズを聞き、これまでに無いものをつくリ、提供してきた経験から生まれた、リアルなユースケースだ。
「起業当初から、仕事とは『維持可能な人助け』だという理念を持ってきました。そして、新しいインフラを創りたい。ないと困るモノ社会に必要不可欠なものがインフラ、人を助け共存共栄してくれるロボットを提供したいんです」
この3年間、災害ロボット開発のエキスパートである豊田CTOや内外の仲間たちとともに自費で開発を行ってきた。
そして、日本において、東日本大震災を起業のオリジンとし、差別化、社会に貢献できる形が実現した今、「世界へのアクセル」をかける為にHAXへの挑戦を決めたのだ。
司馬さんの真摯な言葉は心に刺さる。また、人として、ビジネス経験者として成熟しているからこその真剣さもひしひしと感じる。
ちなみに深センの平均年齢は32歳、この街で司馬さんたちの大人のチームが、彼らと肩を並べて切磋琢磨することになる。幾つになっても攻め進化し続けられること、それこそが最高に恰好良いのではないか。
逆転の発想で日本の独自性を活かす
「日本市場って特殊だよね」これは海外で良く出てくる共通ワードだ。
私自身、欧州、米国、中国企業と仕事をしてきたが、確かに日本や日本企業は、世界から見れば特殊だと感じている。その特殊な市場を、スタンダードなものとして考えてしまうと、グローバルな展開が難しくなるのは当然だ。
そうではなく、世界で勝負するためには、グローバルスタンダードから、日本市場向けにカスタマイズする逆転の発想が必要となってくる。今回、HAX Tokyoの誕生で、深センとシリコンバレーと東京を結ぶ新たな動線を開拓したHAX。これに参加することで、必ずやそういった世界に伍していける力が得られると思っている。
日本の独自性を特殊で終わらせるのか、それとも強みとして活かしていけるのか。そのためには先ず世界に飛び出し、「世界共通のマインドと生き抜く技や術」を身に着けることから始まる。
そうすれば、冒頭で紹介したMikiさんが言うような、私たち日本人自身が、日本人のさらなる可能性を信じて、世界を舞台に挑戦していけるのではないだろうか。
連載:深センのリアルなキャリア事情
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