年間1000社以上の応募の中から毎回15社を選抜する狭き門だが、他国のライバルたちが一発勝負の中、事前に深センでの強化合宿なども主催してくれる手厚い特別なプログラムを持っている。
またHAXのプログラム期間中から大手企業とのタイアップのチャンスもある。その実績の一例を紹介しよう。
デリバリーロボットの開発を行うYouibot社は、2017年に設立すると同時にHAXに参加。プログラム期間中に世界的タイヤメーカーとのコラボレーションが叶い、通常では数年を要するとされる新規製品開発をわずか数カ月で実現し、事業拡大に成功。その結果、HAX卒業後にはシリーズAの調達にも成功した。
日本の企業は、このプログラムを活用しない手はない。世界は日本を、イノベーションに挑戦しない国だと眺めている。このままでいいはずはないだろう。HAX Tokyoのチームメンバーの想いは、次のように一致している。
「確かにIT分野で日本発のグローバルリーダーは少ない。ただしハードウエア分野では、今でも勝算がある。現にエントリー数は予想以上で、技術レベルは高く、新技術も多い。そこからリアルなプロトタイプへの落とし込み、そして世界で渡り合うための英語力、グローバルマインドセットがやはり重要だ。そのために僕らも彼らと一緒に挑戦していきたい」
HAX Tokyoから世界へ発信するロボテックス
HAX Tokyoの、応募者がプレゼンテーションをおこなうイベントで、興味深い挑戦者に出会った。それがHaloworldのFounder & CEOである司馬天風さんだ。司馬さんは「社会に必要不可欠なインフラとなるロボットを提供したい」と語る。
深センでの強化合宿に参加したHaloWorldの豊田CTOと司馬CEO
司馬さんの起業歴は15年、まずは新潟の実家の一室から、父親とともに、原発関連の商社を立ち上げた。原子力発電所の現場に密着し、難燃シートや遮蔽ベストなど、求められるものは何でもつくり製品化し、常に現場のリアルなニーズに応えてきた。
事業は順調に伸び続け、福島にも新オフィスを構えた10日後に、東日本大震災の原発事故で、オフィスは立ち入り禁止になってしまった。そして、そこから原発現場の人たちを支えるさらなる挑戦が始まった。