「まず2010年にチャイナアクセラレーターを立ち上げた。中国で最初に誕生したアクセラレーターだ。10年前でも深センのハードウエア製造のエコシステムは、中国全土でも際立っていた。だから2011年に世界有数のベンチャーキャピタルSOSVの傘下として、HAXの第1拠点を深センに設立したんだ。
HAX深圳でのオープンイベント
深センの魅力は沢山あるけれど、何より早い、安い、そしてとても柔軟なこと。そのすべてがスタートアップには必須、なかでもスピード感がいちばん重要なんだ。最速スピードでの製品化がここでは可能になる。今後、とくにロボテックスの分野では、深センは世界中から熱い注目を集める発信拠点になる」
その深センからサンフランシスコに集まった挑戦者を紹介しながら、彼はこう続けた。
「シリコンバレーには、ここにしかないスタートアップ支援のエコシステムがある。昨今、世界中で『〇〇のシリコンバレー』という言葉を耳にするけれど、実際に成功している例は少ないと思う。本当のシリコンバレーは、ハード面ではなく、ソフト面が最大の魅力だ。
自ら起業し成功体験を持つ起業家からの資金とノウハウの支援、世界展開をするためのビジネスマインド、マーケティングや組織戦略、その成功と失敗事例。それらソフト面の蓄積をベースにして進化し続けているのが、シリコンバレーの起業家支援のエコシステムなんだ。
また、シリコンバレーと深センでは違った強みと魅力がある。その両方のエコシステムを活用できることが、HAXの最大の強みだよ」
左上からSOSV創業者ショーン、シリル、HAX深圳統括のダンカンとMikiさん達
日本の企業と世界を繋ぐHAX Tokyoの誕生
「スタートアップは大手企業とタイアップすることで、ユースケースが創りやすい。また、われわれのグローバルネットワークも活かして、彼らの世界展開を全力でサポートしていきたい」
こう語るのは、HAXの東京拠点を支えるコアメンバー、住友商事の山木英裕さんと、住友商事グループのシステムインテグレーターSCSKの佐々木嘉隆さんだ。
実は、今回、住友商事グループが全面的にサポートすることによって、2019年7月、HAX Tokyoが誕生した。HAXに応募し、深センでの第一選考の前にサポートしてくれる拠点は、世界中でもこの東京にしかない。