ライフスタイル

2019.12.22 10:40

WHY JAPANESE RESTAURANT? 日本の食はなぜ世界でウケるのか

東京とフランスで日本料理の魅力を長きに渡って伝え、日本料理のアンバサダーとして活躍している小山裕久氏(左)とフランスで「ムッシュ・グルメ」の異名をとるフィリップ・フォール氏(右)は長年の友人関係にある。東京・京橋「婆紗羅(ばさら)」にて。


フォール:フランスには宮廷があったことも食文化を成熟させた理由のひとつでしょう。太陽王と呼ばれたルイ14世には50人の王子がおり、彼らには500人のシェフが仕えていました。ベルサイユには「王の菜園」があって、多くの食材が開発・研究されていました。そのあとフランス革命があって、シェフたちが街に出て行った、というわけなのだけれど。
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小山:エスコフィエ(*1)により、フランス料理がきちんと体系化されていることもあるでしょう。私は東京大学の関連研究領域の皆さんと一緒に、日本料理の体系化を試みています(GUSTO、東京大学日本料理グローバル研究連携ユニット)。

日本料理を技術、農学、医学、歴史、文化、素材の6つの視点から言語化しようとしているのですが、フランス料理のそれが階段のようにステップ・バイ・ステップだとしたら、日本のそれはロック・クライミング級に難しい(笑)。言語化できていないというのはつまり概念ができていないということで、概念がないところに体系はつくれない。昨今のフュージョンブームもこの空虚な状況から来ているのではと危惧しているところです。

フォール:青柳さんの長年にわたる貢献もあり、機は熟しています。体系が出来たら、もっと日本料理店のランクインが増えるかな(笑)。日本料理のこれからにますます期待します。
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*1 ジョルジュ・オーギュスト・エスコフィエ(1846年- 1935年)/シェフでありながら、料理考案・レシピ集の著述を通じて、伝統的なフランス料理の体系化・革新に貢献した。「近代フランス料理の父」とも呼ばれている。


フィリップ・フォー ル◎LA LISTE代表/フランス観光局局長/パリ・フード・フォーラム責任者。50年仏トゥールーズ生まれ。フランス外務省に入省。メキシコ大使を経て、08〜11年駐日フランス大使。

小山裕久◎料亭「青柳」 三代目主人/NPO法人日本料理文化交流協会/農林水産省 日本食普及の親善大使。49年徳島生まれ。92年、平成調理師専門学校を設立。10年、仏政府より農事功労章オフィシエ。

photographs by Yama | text and edit by Miyako Akiyama

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