死闘!マツダ・ロードスター、4時間耐久レース


このレースは60lのガソリン制限があるため、半分レース、半分エコランなので、アクセルをベタ踏みで走行すると途中でガス欠になる。だから、ガソリンの使用量を丁寧に管理しながら、できるだけ速く走るのがコツ。ということで、3速、4速、5速しか使ってはいけない。そういう制限で走ると、だいたい1周を1分16秒台で回れるはず。練習のおかげで5人のドライバーはその調子で走れるようになった。

練習のかいあって、序盤は上位に

レース当日の9月7日は、最高気温35℃と非常に暑かった。今年はその暑さと湿度に耐えられるよう、通気性に優れた軽い耐火素材でできたレアーズ製のレーシングスーツに決めた。それを着たまま数十分走るだけで、車内は45℃以上に達するので、ウェアの正しい選択が重要だ。

まずは山田選手による予選での素晴らしい走りのおかげで1分11秒4で3位をゲット。そこから僕がスタート・ドライバーを務め、後続のチームのスタートからのすごいペースに惑わされることなく、いつもより激しい50分のバトルを終えた。スティーブンス選手に交代した時点では6位をなんとかキープ。このレースでは、ドライバーがピットインするとき、1分も停止しなければならないので、順位が激しく変動する。初めて本物の筑波サーキットを走るスティーブンス選手が激しいバトルに慣れるまでには数周かかり、順位が少しダウン。しかし彼は降りたあと、「やはり、バーチャルのグランツと、リアルのマシンの走りは、タイムも一緒だし、ゲームとリアルでの走りはまったく同じですね」と感心していた。

レーサーも兼ねているジャーナリストの斎藤選手がスティーブンス選手からバトンを受け取ると、順位を8位まで上げた。また、その後の泉選手は筑波のベテラン。ナイスドライビングで表彰台が狙えるところまで浮上した。

しかし、耐久レースでは何が起きるかがわからない。それも、こういうイベントの楽しみのひとつである。レースの中盤、誤ってマシンの重要なキルスイッチ(エンジンを停止するための装置)を切ったためか、ガソリンの残量がわからなくなってしまった。そしてラストドライバーは山田選手。最初の10分はかなり速いペースで走ったが、ガソリンの残量が危ないかもしれないとチームの和田監督が判断。「山田君、ペースダウン」の命令が飛んだ。ずっと5,500回転で走行していた彼に、「ごめん、4,500回転で走ってちょうだい」という指示が出たのだ。
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文・写真=ピーター・ライオン

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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