事の発端は、アメリカ農務省が、2019年のジャガイモの生産高が、6%も前年を割っていると発表したことだ。たった6%で、なぜそんな大騒ぎになるのかと思うが、フライドポテトに使われるのは、通常シーズン後半に収穫されるものが当てられることが多いので、この秋になってからワシントン州やアイダホ州といった主要産地を襲った寒冷前線によって、フライドポテト用のジャガイモが著しく少なくなるという見込みのようだ。
一方で、ニューヨーク・タイムズは、独自の調査で、当該地域でのジャガイモの収穫はすでに85%ほど終わっており、パニックになるほどではないと指摘している。
アイダホ・ジャガイモ協会のフランク・ミュー氏によれば、確かにフライドポテト用のジャガイモ不足は深刻だが、製造工場は温度管理に優れた倉庫を持っているので、備蓄在庫をうまく使いながら供給不足にならないようにできるはずだとし、消費者に落ち着きを呼び掛けている。
それでも、一度、不足という観測記事が流れると、不安は全米に広がり、レストランではその話題で溢れることになる。こうなってみると、普段はそれほど話題にならないこのフライドポテトが、実は、アメリカ人の魂に刻み込まれた「国民食」なのだと思わされる。
ちなみに、アメリカではフライドポテトとは言わず、「フレンチ・フライ」と言うのが一般的だ。また、フライドポテトの世界最大の加工処理工場のトップスリーのうち上位2つはアメリカにあり、3番目はカナダにある。
フライドポテトのランキングも
ロサンゼルス・タイムズが、 19社のファストフードのフライドポテトを食べ比べ、その味やボリュームや値段を比べた総合ランキングを載せているが、そういう特集が真面目に組まれるほどフライドポテトはアメリカ人の生活には欠かせない。
その特集を読むと、確かに、ジャガイモを揚げただけのシンプルな食べ物というわけではなく、調理法や切り揃えた形、その太さなどによって味は変わるし、新鮮さが評価に与える影響は多く、フードの品質管理は簡単ではないと納得させられる。