犯罪報告件数が2番目に多かったのは、世界2位のクルーズ企業ロイヤル・カリビアン(RCL)だ。期間中には性的暴行8件、盗難3件の重大犯罪計11件が報告された。昨年同期の3件から2倍以上の増加となる。
RCLは「乗客の安全と保安は当社の最優先事項であり、重大犯罪の疑いは全て深刻に受け止めています」と回答。「事案が報告されると、当社の方針に基づき、即座に適切な法執行当局への通報がなされます。(中略)当社の船上警備員は広範囲にわたる警備訓練を受けており、多くは警察出身者です。当社の警備・医療チームはRAINNの認証を受けており、支援を必要とする乗客や乗組員に対して被害者支援や医療、カウンセリングのサービスを提供できるよう、RAINNと緊密に連携してケアチームのメンバーを訓練しています」と述べた。
犯罪報告件数がわずかながらも上昇しているとみられる理由については、2社のいずれもコメントしなかった。
それでは、クルーズ船での犯罪はどれほど一般的なのだろうか? クルーズ業界は、クルーズ船が米都市部よりも安全だと主張している。クルーズライン国際協会(CLIA)は「著名な犯罪学者ジェームズ・アラン・フォックス博士の4年にわたる犯罪データ研究からは、(クルーズ船上での)重大犯罪の申し立て件数が陸上の25分の1以下であることが示されている」と主張している。
ノースイースタン大学教授であるフォックスはCLIAの委託により執筆した論文「海陸の暴力犯罪率比較(Comparison of Violent Crime Rates at Sea and on Shore)」で、「通常リスク要因だとされる比較的小さなスペースでの乗客乗員の密集、密室スペースの多さ、アルコール消費量の多さを考慮すると、この安全水準は注目に値する」と述べている。
クルーズ業界は、問題への対応を行っているようだ。また、犯罪報告件数が増えているとはいえ、北米で2018年にクルーズ船を利用した乗客が約1420万人であることを考えれば、この数字はまだ低い。一方で、暴力犯罪は犠牲者やその家族に破壊的な影響をもたらすものであり、たった1件でも許されるべきではない。