このデータは、クルーズ船保安安全法(CVSSA)に基づき米連邦捜査局(FBI)が受けた通報件数に基づいている。同法では、船内で行方不明者が出た場合や犯罪行為の疑いについてFBIへの通報を義務付けている。
今回の期間中に報告された事件のうち性的暴行は件数が最も多く、46件中35件と75%を占めていた。殺人や不審死はなかったものの、米国人2人が行方不明となった(いずれもカーニバル・クルーズの乗客だ)。2人は意図的に海に飛び込んだとみられる。
事件の報告件数が最も多かったのは、カーニバル・クルーズの28件だ。このうち性的暴行は20件を占める。カーニバル・クルーズは世界最大のクルーズラインで、2018年は世界のクルーズ船乗客総数の22%に当たる570万人以上の乗客を運んだ。
カーニバルでの前年同期の性的暴行報告は19件だったため、今年は前年同期比で47%増となった計算だ。カーニバルにコメントを求めたところ、同社は「全乗客の安全と保安が当社の最優先事項です。当社では毎年600万人近くの乗客が、安全な環境でクルーズ旅行を楽しんでいます。当社はクルーズ船保安安全法を完全に順守しています」と返答。
さらに「当社の運行便の90%近くは米国の港を出港しており、CVSSAで報告義務の対象とされています。当社と競合する米企業の多くは欧州など国外の港から出港するため、報告プロセスの一環としてCVSSAのデータ提出が義務付けられていません。つまり、当社の報告数が多いのは、他社と比べて米国便の割合がはるかに多いためであり、他社よりも犯罪件数が多いからではありません」と補足した。
また同社の広報担当者は「当社では、制服警備員を通じて高い安全性を維持しています。警備員は、多くの経験豊富な元警察関係者から構成される陸上警備チームと連携して活動します。またカーニバルは、米国最大の反性暴力組織『RAINN』の認証を受けています」と説明した。