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「思わぬ不合格」はメンタル面から。プラス、「志望校を変える」ことの危険

また、別の年にこんなこともありました。練習のつもりで受けた「落ちるはずのない」学校に立て続けに落ちてしまった生徒のお母さんから、「第一志望校も無理なのではないか、今から変えた方が良いだろうか」と相談をいただいたのです。

ですが、このときに私が伝えたのは「彼が今一番合格に近いのは第一志望校です。そこに照準を絞って、ここまで走ってきたのですから。このまま行きましょう」ということでした。

実は、その「落ちるはずのない」学校の入試の朝、応援に行った私の目に映った彼は、落ち着かない様子でした。何となくお祭り気分でフワフワしていたのです。第一志望校に挑むのと同じような緊張感を持てなかったのですね。そこから「思わぬ不合格」が起きたのだと思います。


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「練習で受けた学校」は、彼が実力の80%を出せれば合格できるはずでした。おそらく当日は50%も出せていなかったのだと思います。その原因はまさにメンタル。この場合は「緊張しすぎ」ではなく、「良い意味での緊張感が持てなかったこと」がマイナスに働いた例です。

しかし、事前に受けた入試の結果が思わしくなかったからといって、第一志望校を直前に変えることはお勧めできません。2月1日の朝に「今ごろ、第一志望校の試験は始まっているかな」と思いながら目の前の問題に取り組んでも、よい結果につながるとは思えないからです。

中学受験は、なんといっても受験生がまだ12歳。大学受験に比べるとメンタルの占める割合が大きく、最後の最後に合否を左右するのは「精神面」であることが多いのです。

その精神面のケアに、大人は留意すること。そして、子どもたちへの第一志望校への「思い」を大切にし、安易に志望校を下げないこと。この2つはとても大事だと思います。

合格可能性80%の受験生はその学校には「通わない」可能性が高い

さて、6年生の冬休み。直前のこの時期、合格ラインに未達であっても、実はあまり心配する必要はありません。むしろ、今この時期に「志望校判定テスト」で合格可能性80%が取れていれば、志望校をワンランク上に変更した方がいいかもしれません。

逆に、この時期「合格可能性30%」でも、チャンスはいくらでもあります。これを、世間では「逆転合格」と呼んだりすることがありますが、実は、中学受験におけるこの現象は「逆転」でもなんでもなく、普通のことなのです。

なぜなら、合格可能性80%ラインの受験生は、もちろんほぼ合格はしますが、そこが第一志望校ではないことの方が多い。入学手続きをするのはもっと上の学校なのです。これは中学受験ならではの、特殊な傾向ともいえるでしょう。

冬休みは「まだまだ伸びる」時期

子どもたちの力はこの時期、まだまだ伸びます。実際、受験生にとって「約14日間の冬休み」は、「約40日間の夏休み」以上の学習効果があるといっていいでしょう。

秋以前は、同じ1時間の勉強に取り組んでも、60〜70%くらいしか集中していない生徒が多いのです。ところが秋以降、まず「受験生」としての意識が高まってきます。また、「入試演習」で50分間、集中してテストを解くという訓練を始めると、時間単位の集中スキルが上がってきます。

受験当日まで、子どもたちは伸びていく。第一志望校の入試で実力の100%を発揮する準備をして臨んだうえで、当日に1%「上乗せ」することができれば、合格に大きく近付くのです。

構成=石井節子

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