ゲイツは「今年は普段よりフィクションを少し多く読んだ。意識的に決めたわけではなかったが、別世界を探検させてくれる話に心を引かれたようだ」と記している。5冊のうち小説は1冊だけだが、健康から米国史までさまざまなテーマに触れる内容となっている。
『An American Marriage』 タヤリ・ジョーンズ著
米国南部を舞台とした小説で、黒人夫婦が夫の投獄によって関係を変化させていく様を描く感動的な物語だ。ゲイツは、何かについて考えさせられるような本を探している人に同著を勧め、「重いテーマだが、気づいたら引き込まれる」と評している。
『These Truths』 ジル・ルポール著
米国の歴史を800ページにわたりたどる内容で、ゲイツは「これまで読んだ中で、最も正直でひるむことのない米国の歴史書」だと評する。他の米国史研究者とは違い、ルポールはさまざまな視点から米国が持つ大きな矛盾の数々を暴き出しており、学校では教えられていない米国史のこぼれ話が網羅されている。
『Growth』 バーツラフ・シュミル著
ゲイツは以前、自分はシュミルの新作を「人々が映画スター・ウォーズの新作を待つのと同じように」待っていると述べていた。シュミルの39作目となる同著は、将来的な成長と長期的な地球保全の折り合いをどうやってつけるべきかという差し迫った問題について論じている。ただ、ゲイツは時にシュミルの分析に反論すると同時に、内容の一部はまるで技術マニュアルを読んでいるようだとも警告している。科学オタクにうってつけの本だ!
『Prepared』 ダイアン・タベナー著
ゲイツは、子育てに悩みハウツー本を探している人にこの本を推薦している。タベナーは名門校グループ「サミット・パブリック・スクールズ」の話を通じ、親が子どもに対し、単に良い大学に入学するだけでなく、良い人生を送る方法をどう教えればいいかのヒントを与えている。
『睡眠こそ最強の解決策である』 マシュー・ウォーカー著
ゲイツは、自分はマイクロソフト黎明期に「たくさん寝るのは怠け者だ」と考え、カフェインを大量摂取しては徹夜を続けていた日々について回想している。だが、カリフォルニア大学バークレー校人間睡眠科学センターで所長を務めるウォーカーによるこの著書を通じ、自分が睡眠不足によって大きな損害を受けたかもしれないと考えるようになり、就寝時の習慣を変えるにまで至った。2020年をより健康的に過ごしたい読者にとって、良いスタートとなる本だ。
意外にもリストに入らなかった本がある。それは、ゲイツの妻メリンダの本だ。今年発売されたメリンダの『いま、翔び立つとき』は、男女平等を力強く呼びかける内容だ。(ゲイツは以前のブログ投稿で同著を称賛しているので、ご心配なく……)
「ゲイツ・ノート」では、2019年やそれ以前に自身が読んだ他の本も紹介されている。