ビジネス

2019.12.19

経営者として、ブレブレ。20代の佐藤裕介を変えた「占い本」との出会い

(左)アカツキCEOの塩田元規氏、(右)hey代表取締役の佐藤裕介


塩田氏:わかります。少し「熟して」から返信してみることで、お互いにとって納得感の高い選択ができることが増えた気がする。

佐藤氏:あとはちょっとした不満や不安を、立場に関わらず口に出すようにしました。これは明確に成果があって、メリット・デメリットではなく「対人間」として互いに敬意を持てる関係性が増えましたね。その分、その場ではお互い納得できなくて喧嘩をしてしまったこともありましたが。

それに、自分が不安を口にすると、喜んで話を聞いてくれる人が結構多いんですよね。フリークアウト時代は経営者は不安を見せちゃいけないと思っていたのですが、実はその態度ってめちゃめちゃ上から目線。「他の人には理解されないだろうから、自分だけで考えよう」と閉じこもるのではなく、口に出してみることで、真摯に聞いてくれるひとがたくさんいたんです。

塩田氏:経営者にも、目標を見失ったりビジョンに自信が持てなくなったとき、目先を変えようと海外に目を向けるひとが結構いますよね。一見すると正当性があるんだけど、ただ単にいまの組織の居心地が悪いだけだったりする。でも、本当にやるべきことは、ここにいる自分の居場所を居心地よくすることなんだよなぁ。

思考、ハートのその先、次なる興味は「身体」の変化

塩田氏:居心地を考えるうえで大事だと感じているのが、「大きな文脈」のなかに自分を落とし込むことだと思っています。これはグロービス経営大学院の田久保善彦さんが教えてくれたんだけど、創業300年以上続いている会社の共通点に、神様が祀られていたり神事を大切にしていたりすることがあるらしい。

要は、自分を超越した目に見えないものを素直に認めて、その繋がりを意識しながら経営をしている。アカツキでもよく「お天道様に恥じない行動をしろ」って言うんだけど、目に見えない繋がりのなかで、「委ねつつ、ベストを尽くす」のが、うまくいくコツなのかなぁと考えています。

佐藤氏:「委ねつつ、ベストを尽くす」、いい言葉ですね。たしかに、ノート開いてブレストしようとしてもいいアイデアは浮かばないけど、シャワー浴びてたりランニングしているときにアイデアって浮かびがち。そういえば僕も最近、そういった「余白」を作るために瞑想をはじめました(笑)。

塩田氏:余白を意図的に作るの、すごくわかる。僕も最近、自炊をするようになったんですよ。これまでずっと仕事人間で食事に気を遣ったことはなかったんだけど、ゆっくり食べながら身体を労わることで、仕事にもシナジーを生み出せることにようやく気づきました。

だから、思考、ハートときて、いまのテーマは「身体」なんですよね。アカツキのCFOが武道を学んでいるのですが、最近、彼から基礎を教わっていて(笑)。武道的な身体操作には相手を尊重する考えが根付いていて、「委ねつつ、人を動かす」ことの真髄が詰まってる。だから、次に本を出すときは、「身体」をテーマにしても面白いかもなぁ。

佐藤氏:いいね(笑)。次の書籍も楽しみです。



第1弾:予防医学博士 石川善樹氏
第2弾:DeNA創業者の南場智子氏

文=半蔵門太郎 写真=小田駿一

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