AIでがん治療を変える、ショーン・パーカー出資のArsenalBioの挑戦

ショーン・パーカー(Photo by Gilbert Carrasquillo / Getty Images)

「プレシジョン・イムノセラピー」(患者ごとに最適ながん治療を行う個別化免疫療法)を手掛ける「ArsenalBio」は、ステルスモードでの活動を終え、本格的に事業をローンチした。同社は、2019年6月のシリーズAラウンドで8500万ドル(約92億円)を調達している。

ArsenalBioは、機械学習を活用して遺伝子の新たなパスウェイを見つけ、ゲノム編集ツール「Crispr」を使って固形がんとの闘いにより適した免疫細胞を作りだすことを目指している。

「2018年中頃にArsenalBioを設立して以降、戦略のブラシュアップやチームの組成、事業計画の策定などに時間を費やしてきたが、正式に事業をローンチする準備が整った」と同社の創業者でCEOのKen Drazanは話す。Drazanは、かつてがん診断スタートアップ「GRAIL」で社長を務めた経歴を持つ。

ArsenalBioには一流の研究者が集まっているが、その多くはビリオネアのショーン・パーカーが設立したがん免疫療法研究所「Parker Institute for Cancer Immunotherapy’s(PICI)」や、その関連先に勤めたバックグラウンドを持つ。

パーカーは、ファイル共有サービス「ナップスター」の共同創業者で、初期のフェイスブックで経営幹部を務めた。彼は、親友の映画プロデューサー、ローラ・ジスキンが2011年に乳がんで死去したことを受け、PICIを設立した。

ArsenalBioには、ジェネンテックでがん免疫学の主任研究員を務めたJane Groganや、ジョンソン・エンド・ジョンソンの子会社「ヤンセンファーマ」でがん免疫療法担当のバイスプレジデントを務めたMichael Kalos、バイオテック企業「10x Genomics 」で生物学担当のバイスプレジデントを務めたTarjei Mikkelsenなどが参画している。
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編集=上田裕資

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