マギー、ブランド立ち上げの裏にある決意──「自分を演じることはやめました」

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出る杭が打たれる社会で、出る杭になる決意

『ViVi』を卒業してから女優業に挑戦し、新たなステップとして2018年にファッションブランド「SURIPSIA」を立ち上げ、今年はプロテイン「CRAS」をプロデュースしています。

2つのブランドに共通しているのは、「新しい自分に生まれ変わることを恐れず、楽しんで変化していこう」というメッセージです。

ブランドのコンセプトに「変化」を据えた背景には、私の過去が関係しています。

まだ若かった頃は、「モデルとしてのマギー」を演じていると、「本来のマギー」とのギャップに戸惑うことがありました。

若さゆえ、生き急いでいたのかもしれないですね。自分で選んだ道なのに「自分は消費されている」と、周囲の人を遠ざけていました。

ただ、ある日ハッと気づいたんです。私がモデルとして仕事ができているのは、カメラマンさんやヘアメイクさんやスタイリストさんなど、その他たくさんの方々の支えがあってのことだと、感謝の想いが湧いてきました。そのときのことは、今でも鮮明に覚えています。

その日以来、私の職業観が変化しました。撮影ひとつ取っても、その日に至るまでの皆さんの苦労や想いに胸を馳せるようになり、丁寧に向き合えるようになったんです。仕事が楽しく、そして面白く感じられるようになり、視野が大きく広がりました。

デビューした頃に立てた目標を達成し、「夢は叶う」と知ってから、人間が持つ可能性の広さを知りました。“モデルだけのマギー”から変化し、“女優のマギー”や“プロデューサーのマギー”になれたのは、目の前の仕事に本気で向き合い、そして変化を楽しむマインドになれた結果です。



ただ、誤解を恐れずに言えば、日本は「出る杭が打たれる」社会です。変化しようとする人に対し、否定的な声が寄せられることも少なくありません。

でも、変化するのは素晴らしいこと。昨日の自分より成長し、まだ知らない景色が見えるから。SNSを通じて悩み相談のメッセージをよくいただくのですが、その声を聞いていても、多くの人が「変化したいけど、ウズウズしてしまっている」のがよく分かります。

私は「SURIPSIA」や「CRAS」を通して変化しようとする人を応援したいですし、私自身、変化する当事者です。私がブランドを立ち上げたこと自体も、「変化を楽しむ人」の一例としてみてもらい、誰かの背中を押すきっかけになったらいいなと思っています。

マギー流、憂鬱な感情のコントロール法

私自身の経験から、変化を楽しむには、居心地の良い状態をつくる努力が必要だと感じています。ネガティブな感情のまま毎日を過ごしていると、感性が鈍って変化のタイミングを逃してしまうし、変化した先にある未来を肯定しにくくなるからです。

逆に、いつでもポジティブな状態でいられると、見える景色が鮮やかになります。自分の欲求に素直になることができ、変化することがポジティブに感じられるようになるんです。

とはいえ、いつもポジティブでいられるほど、人間は強くないと思います。誰にだってネガティブになってしまう日はある。ただそんな憂鬱な日々も、考え方ひとつでハッピーな日々に転換することができます。
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文=倉益璃子・小原光史 写真=小田駿一

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