テクノロジー

2019.12.17 07:30

AIによるファンド運用、その現状と将来

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コンピューターはネコを認識できる。では、割安株は見つけられるだろうか。
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チダナンダ・カチュア(Chidananda Khatua)が、その問いに対する答えをひらめいたのは4年前。ビジネススクールで、ヘッジファンドに関する講義を受けていたときだ。

当時インテルのベテランエンジニアで、カリフォルニア大学バークレー校の夜間・週末MBAプログラムで学んでいた彼は、精密な金融データを、年次報告書やニュース記事などに盛り込まれている、よりファジーな情報と組み合わせれば、すごいことができるのではないかと考えついた。

ウォール街の歴史において、コンピューターはほぼずっと、もっぱら量的計算のために使われてきた。たとえば、株価を1株当たり利益で割って、その結果をランク付けするといったことだ。しかし、それは変わろうとしている。「コンピューターの言語的能力」の可能性が劇的なかたちで示されたのは2011年のこと。IBMが開発したコグニティブ・コンピューティング・システム「ワトソン(Watson)」が、人気クイズ番組「ジョパディ!」のチャンピオン2人と対戦して勝利したのだ。この偉業を達成するためにワトソンは、数字だけでなく、系統立った関係性や時間、近さ、因果関係、分類など、多くのつながりを把握する必要があった。
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そうした人工知能を活用すれば、テレビのクイズ番組で人間を打ち負かす以上に多くのことが可能となる。医者の助手として働かせたり、消費者に製品を勧めたり、クレジットカード詐欺を見破ったりできるかもしれない。ならば、ポートフォリオの運用も可能なのではないか。

そうした思いつきを実行に移すため、当時40歳だったカチュアは、ビジネススクールのクラスメート2人に協力を求めた。当時31歳だったアーサー・アマドール(Arthur Amador)は、投資信託企業フィデリティ・インベスメンツ(Fidelity Investments)で資産家のファミリーを対象にアドバイスをしていた人物だ。当時33歳のクリストファー・ナティヴィダド(Christopher Natividad)は、企業の資産を運用する仕事に就いていた。

彼らは、コンピューターが人間のような理解力を持つなどという幻想は抱かなかった。とはいえ、コンピューターは知識を持てるし、膨大な量の事実を収集し、証券市場に潜むパターンやトレンドを探り出すこともできる。ひょっとしたら、持てる能力を総動員すれば、自らに欠けている直感力を穴埋めできるのではないか。彼らはそう考えた。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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