久保は、数々の名選手を輩出したことで名高い「FCバルセロナ」の育成組織「ラ・マシア」で、2011年から2015年までの4年間を過ごした。だが、バルセロナが18歳未満の選手に関する外国人選手の獲得・登録に関するルールに違反したと認定されてしまったあおりでプレー機会を奪われた久保は、育成過程半ばの2015年、母国日本への帰国を余儀なくされた。
その後、久保は2017年から日本でJリーグの「FC東京」に在籍していたが、2019年6月に18歳の誕生日を迎えた後、他チームへの完全移籍を発表した。古巣のバルセロナと再び契約を結ぶことも容易だったはずだが、久保は、バルセロナの宿敵「レアル・マドリード」を選ぶという、驚きの動きに出た。この移籍は大きな賭けだが、久保が自らにかかる高い期待に応えることができれば、非常に賢い選択だったということになるはずだ。
久保はのちに、移籍の決め手について、スペインのスポーツ紙『マルカ』で、「レアル・マドリードは、僕と契約したいという意思をはっきりと示してくれた」と明かした。「レアル・マドリードは、僕が選手として進むべき道を描いた計画を示してくれた。僕もこの計画がとても気に入り、これが移籍を決める後押しになった」
レアル・マドリードへの移籍が正式発表された時、久保はコパアメリカに出場する日本代表チームの一員として、開催地のブラジルに滞在していた。
その後、スペインに渡った久保は、同じく2019年6月に18歳でレアル・マドリードと正式契約を締結したロドリゴ・シウバ・デ・ゴエスと並ぶかたちで、プレシーズンマッチでアピールを重ねた。だが、シーズンインを前に、久保とそのエージェントは、「RCDマヨルカ」への期限付き移籍が「最善の選択」との結論に達し、8月22日に発表された。
マヨルカでは、12月6日までに12試合に出場し、1ゴール3アシストの実績を残しており、この選択はひとまず成功だったと評価できる。出場した試合の中には、シーズンインまで在籍していたレアル・マドリードをホームに迎え、1-0でマヨルカが勝利した試合も含まれている。これは、2019-20シーズン、ジネディーヌ・ジダン監督率いるレアル・マドリードに初めて土をつけた大番狂わせだった。