感情は伝染する? ポジティブに振る舞うべき理由

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ペンシルベニア大学ウォートン校のシガル・バーセード教授(経営学)は「私がほほ笑めば、あなたもほほ笑むだろう。しかし、これはただの模倣ではない。あなたは実際に、その感情を経験するはずだ」と説いている。

また、この感情が自分に伝染したものだとは気づかない可能性が非常に高い。その代わり、その感情は自分のものだと思うだろう。このプロセスは感情の伝染と呼ばれている。これは、人から人へと気分や感情がうつることを指している。

ここで、インフルエンザに感染しているときについて考えてみよう。インフルエンザにかかっているのに、会議で真ん中に座るだろうか? 大半の人は、自分が他者に対して危険な存在であることを認識し、病気が治るまで自己隔離するだろう。

非常にネガティブな気分や感情を経験している場合も、同じように振る舞うべきだ。ポジティブな状態になるために行動を取るか、そうでなければ他の人を避けることが必要だ。

残念なことに、現代社会の多くはこれと正反対の行動を取っている。

世界の政治的指導者の多くは大きな悪循環にはまっている。全ての取材や会話ではネガティブな要素が次々と挙げられ、政治的指導者らは自分が気に入らないものに執着している。

ソーシャルメディアの多くも同様にネガティブだ。

私が何年も前に、インターネット上では絶対にネガティブにならないという誓いを立てたのもそのためだ。何かを聞いて怒りを感じることはあるかもしれないが、私はそれをネット上で言わず、代わりにポジティブな発言をするようにしている。

誰しも、選択の自由がある。

ポジティブな雰囲気で会話を始め、そうすることでポジティブな感情を広めることはほぼ全ての状況で可能だ。あなたが不快だと感じるような考え方や振る舞いの人が同じ部屋にいたとしても、相手に対し「今日はとても素敵ですね」と言うことはできる。

私がここで話題にしているのはちょっとしたやり取りだけでない。これは、あらゆる人間的な交流を総合したものに言えることだ。指導者は、他者に対する権力ゆえ、自分が示す感情が非常に大きく広がることを理解し、ポジティブな感情を広めるか、それともネガティブな感情を広めるかの選択肢を持っている。

人を率いる上で、やる気を活用することも恐怖心を活用することもできる。また、喜びで従うことも怒りで従うこともできる。権力や影響力の大きさにかかわらず、感情は伝染する。この世界にどのような感情を広めるかに関しては、誰もが選択肢を持っている。

バーセード教授はウォートン校が発行するウォートン・マガジン(Wharton Magazine)に対し「従業員に対し感情が波及することについて話すとき、職場の人やグループの間で起きていることがこれでとてもうまく説明されるというフィードバックを受けることが最も多い」と述べている。

私からは、世界で現在起きていることの多くがこれにより説明できると補足したい。私たちは自分が広める気分や感情について、今よりもずっと配慮する必要がある。

翻訳・編集=出田静

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