ヒアリングした企業の一部は、ソフトバンクがリードインベスターでないことから、雇用創出を同社の手柄とするべきではないと述べている。ソフトバンクの出資先の関係者は、次のように述べている。「雇用創出をソフトバンクの功績とするのは不正確であり、事実と異なる」
ビジョン・ファンドの最大の出資先は、雇用を創出するどころか、人員整理を行っている。ウィーワークは共同創業者兼CEOのアダム・ニューマンを追放した後、11月に世界で4000人を削減する計画を発表した。ウーバーは、7月以降1000人を削減しており、その大半は米国で実施したとされる。10月には、Fairが従業員の40%に相当する200名をリストラした。建築スタートアップの「Katerra」も数百人を解雇し、アリゾナの工場を閉鎖している。
ソフトバンクにとって最大の投資案件の1つだったスプリントは、従業員数が約3万人と、2016年以降ほとんど増加していない。Tモバイルと合併が実現すれば、ビジョン・ファンドの投資先と同様に大量の人員整理を強いられるかもしれない。
司法省は、7月に両社による260億ドルの合併計画を承認したが、14自治体の司法長官が合併阻止を求める訴訟を起こしており、孫の思い通りに事態が進まない可能性もある。原告は、両社が合併することで消費者が不利益を被ると訴えている。
孫がトランプと交わした約束の期限まであと1年だ。貪欲なディールメーカーは、できる限りの努力を続ける必要がありそうだ。