引退後、何をするのか──巻誠一郎が語った、セカンドキャリアへの思い 

1月13日に地元熊本のえがお健康スタジアムで引退試合を開催する、巻誠一郎


海外に行くことで自分の価値を考えるようになり、サッカー以外の分野で自分の価値が発揮できそうな場として、最初にやってみたのが飲食でした。フランチャイズオーナーをやってみたのですが、すぐに向いていないなと思いました。正直、数字にあまり興味が持てなくて。そこで違うな、と気付きました。
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それで自分を見つめ直したときに、どういう場面でパーソナリティーだったり、心が動いてアクションに繋がったりするのかを考えました。浮かび上がったキーワードは「誰かのためになること」でした。

自分のやりたいことに関しては遠慮してしまう性格だけど、誰かに頼まれたことについては大胆に図々しくアクションを起こせる。そういう力を発揮できるところに専念し、誰かのために動くことで社会と接点を持ち、自分の生きる道があるように思いました。

いまは災害時の支援団体をNPO法人に変えて、「本物を見せる」思いの下学校教育を一緒に参画しています。熊本を中心に授業をさせてもらい、その延長として様々な場所で講演活動もしています。熊本地震の後にパートナーと立ち上げたのは学習とスポーツの2つをメインとした障がいを持った子供たちの放課後等デイサービスです。
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写真=マクアケ提供

今年の5月には事業所を立ち上げ、障がい者の就労支援も行っています。障がい者の方がどういう環境であれば仕事に向き合っていけるのかを考え、その答えの1つが農業でした。地元熊本は農業が盛んなのですが、従事者の平均年齢が70歳近くなってきています。今実際にトマトハウスを2棟自分で育てているのですが、元々運営していた方の体調が悪くなって引き受けています。

農業と福祉は相性が良いのですが、仕組みづくりは大変なので商品の価値を高めることで農業の価値を高めていくことに取り組んでいかなくてはいけないなと思っています。

東京ではベンチャー企業のaiwell(アイウェル)のタンパク質の研究にも参画させてもらっています。あとはいくつかの会社の顧問もしています。個人ではサッカーの経験をいかして、サッカー教室の施設運営管理、解説などを通じた発信に取り組んでいます。

サッカーは流れが速いので、一度離れてしまうと戻るのが大変。どこかしらと接点を持ち続けることは大切です。僕の仕事をやる上での軸は誰かのためにやることであり、社会性のあること。もう1つはサッカーと携わり繋げることです。その2つを軸に、さまざまなことにチャレンジしています。
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文=新川諒 写真=小田駿一

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