ビジネス

2019.12.17

起業家とKOLのタッグで挑む、170兆円の「巨大中国マーケット」

(左)KOLの松浦文哉 (右)Kyoukan代表取締役の石川淳 撮影=小田駿一


KOLの存在をもっと認知させていきたい

──KOLを育成する上で、心掛けていることありますか?

松浦:フォロワーとの距離感ですね。インフルエンサーって、芸能人ではないので、手に届くような距離感が大事だと思っています。また、日本人がKOLになる場合、中国という国に対する深い理解が大切です。それがないと、どうしても距離感が生まれてしまう。「中国のことが好き」「中国のことをもっと理解したい」という方でないと、プロデュースは難しいです。

──これまで日本企業がうまくいかなかったのは、中国に対する理解が足りなかったからでしょうか?

石川:色々ありますが、企業側としても、「KOLを使えば良いよね」というような軽い気持ちで始めてしまうと、うまくいかない場合が多いように思います。KOL側としても、企業の良いところについて正確に理解する必要がありますし、お互いに歩み寄ることが大切です。

また、弊社では、単発のプロモーションではなくて、企業アカウントを育てながら、KOLプロモーションを織り交ぜることを意識しています。その結果、企業側の理解も深まり、効果が出るようなPRになると考えています。

少子高齢化の影響で、日本市場が縮小することを見据えると、あらゆる企業は将来的にグローバルに出て行かざるをえなくなると考えています。その時、「一番近くてデカイ国」が中国なんです。

我々のPR/マーケティングがあれば、日本と中国のビジネス上の架け橋になることができる。TikTokをはじめとするショートムービーを見ている10代〜30代に対して、日本の文化や流行を発信することで、日中間の文化交流がより活発になると思っています。

そして、10〜20年後、その世代の方々が社会的に重要な役割を担うようになった時、日中の関係性は大きく変化しているのではないかと考えています。これは弊社がミッションとして掲げていることでもあります。

──最後に、今後の展開について教えてください。

石川:プロダクションに関しては、もっとチャンネル数を増やしたいと思っています。また、日本においても、KOLの存在をさらに認知させていきたいですね。現状、日本で「KOL」と言っても、「それ、なんですか?」となることが少なくないんですよね。

実際、我々も広告営業でクライアントの中で年配の方とお話していると、まずはインフルエンサーを説明して、その後に、KOLについて説明する感じです。今であれば、木村拓哉さんもWeiboを始めていますし、徐々に認知されてきてはいますが。

広告営業に関しては、インバウンドで案件がどんどん来ている状況です。企業アカウントをつくって、日本が中国についてもう少し理解した上で、ビジネスを成り立たせるための“土台”をつくりたい。その段階では、マーケティングデータも大量に取れるので、そういったことを生かしつつ、次のフェーズでは、自社でECをやりながら、商品を売っていくことを考えています。

文=勝木健太|写真=小田駿一

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