ビジネス

2019.12.17

起業家とKOLのタッグで挑む、170兆円の「巨大中国マーケット」

(左)KOLの松浦文哉 (右)Kyoukan代表取締役の石川淳 撮影=小田駿一

11月11日──。

この日は中国で最も“購買活動が盛んになる日”と言っていいだろう。独身を意味する数字の「1」が並ぶことから名付けられた「独身の日」。中国のEC大手・アリババグループは2019年、過去最大の売上となる4.2兆円を記録。他のECサイトも合算すれば、同日だけで約6.3兆円の売上に達したという。

年々、右肩上がりで成長を続ける中国のEC市場。そんな成長著しい市場に目をつけ、中国展開に本格的に取り組む日本企業が増えてきている。しかし、伸びている市場に参入すれば、どの企業も必ず成功するわけではない。日本には日本、中国には中国の事業展開の“お作法”というものがある。それを知らなければ、中国展開も失敗に終わるだろう。

そんな中国市場への進出を考える企業に対して、様々なメディア(テレビやSNSなど)を通じて、人々の購買活動に対して強い影響力を持つ「KOL」を活用したマーケティングサポートを手がけているのが、Kyoukanだ。

2019年8月、同社は400名以上のKOLが在籍する中国大手のKOLプロダクション「浙江小城画画文化传媒有限公司」と業務提携を締結し、自社内にKOLプロダクション機能を新設。Kyoukan内のKOLプロダクションには、中国最大級の動画プラットフォーム「bilibili」を活用し、日本人の中では第3位となる64万フォロワーを獲得している松浦文哉を筆頭に、数多くのKOLが在籍している。

中国市場に進出する際、どのようなことを考えておくべきか。また、動画を制作するにあたって、どのようなことを意識すべきなのか。Kyoukan代表取締役の石川淳と松浦文哉に話を聞いた。

──まず、石川さんがKyoukanを起業した経緯について教えてください。

石川:前職では、飲食店やエステ、美容系の事業を展開している会社の役員をやっていました。事業を展開する中で、今後は、マスメディアの影響力が強い分野においても、セルフメディアの影響力が格段に増していくのではないかということを肌で実感していました。

そして、自分で起業して、ビジネスを展開するのであれば、「セルフメディア」×「海外に対して打ち出せるもの」という軸が良いのではないかと考え、中国向けインフルエンサーのプロダクションを設立しました。

日本のインフルエンサー向けのプロダクションは数多くありますが、個人的な意見としては、かなり飽和状態にあると思っています。今から始めたところで、各ジャンルにはすでに数多くの先駆者がいて、今から彼らに追いつくのは難しい。一方で、中国大陸というのは、いわゆる「グレートファイアウォール」の話もあるように、独特の規制があって、グローバルアプリが利用できない状況にあります。

その中で、ツイッターに代わるWeibo、ユーチューブに代わるbilibili動画をはじめとして、様々なプラットフォームが登場してきています。一方で、そこで活躍している日本人はまだほとんど出てきていない。そこに目をつけて、中国市場にターゲットを絞り、中国向けインフルエンサーのプロダクションを設立するに至りました。
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文=勝木健太|写真=小田駿一

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