電子遺書普及へ、米統一州法委員会が法律のひな型を作成

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遺産相続をめぐる法律は、きわめてゆっくりだが着実に、現代のテクノロジーに追いついてきている。

アメリカでは、電子遺書に関する法律を導入するための基盤が最近作成され、今後、大半の州で法律が導入されていくものとみられる。電子遺書(e遺書やデジタル遺書とも呼ばれる)とは、デジタル版のかたちをしていても、伝統的なものと同様の正式な遺書として認められる遺書のことだ。

電子遺書は電子媒体上で文書として作成され、デジタル署名が入れられる。電子的な認証も可能だ。

電子遺書は、正式な文書の作成や署名、証人の認証を不要にするものではない。電子遺書では、そうした要件が紙上ではなく、電子的なフォーマットで記される。

近年、いくつかの州裁判所では、特定の状況下において電子遺書の有効性が認められている。とはいえ、電子遺書について、または電子遺書が認められる状況を定義する法律についての認識が広まったのは、ここ数か月のことだ。

アメリカ統一州法委員会(ULC)は2019年7月、「統一電子遺書法(Uniform Electronic Wills Act)」、通称「e遺書法」を承認した。ULCは、法律専門の大学教授や弁護士などで構成される委員会で、州法のひな型を作成している。ULCで法律が承認されると、それから数年以内に、州の大半がその法律を採用する場合が多い。

1999年にULCが承認した「統一電子トランザクション法(Uniform Electronic Transactions Act)」では、電子商取引が法的拘束力を持つ条件が定められているが、遺書に関しては明示的に除外されている。

ULCと比べて、動きがはるかに先行しているのがフロリダ州だ。同州議会は2017年、e遺書法(e-wills law)を可決。ところが、詐欺的行為の防止策が不十分だとして、知事が拒否権を発動していた。新たな改正法案は2019年9月に成立し、2020年にフロリダ州で施行される予定だ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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