世界で最もCO2を排出する米中、より責任が重いのはどちらか

Photo by Kevin Frayer/Getty Images

第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が12月2日から13日まで、スペインの首都マドリードで開催されている。2015年に採択された温暖化対策の国際ルール「パリ協定」の本格的な実施を前におよそ190カ国・地域の代表たちが、同協定に基づく目標の実現に向けての取り組みについて議論している。

パリ協定は、2005年に発効した京都議定書に代わる新たな取り組みの枠組みを構築するために策定されたものだ。産業革命前からの気温の上昇を2度未満、可能であれば1.5度未満に抑えることを目標としている。

非協力的な米国と“評価される”中国

こうした国際的な取り組みにおいて、これまで米国は決して協力的ではなかった。京都協定を批准せず、2017年には(自国経済に悪影響が及ぶとして)パリ協定からも離脱した。

一方、中国はこの間、風力発電や太陽光発電、電気自動車(EV)に多額を投資。それは肯定的に報じられてきた。ただ、実際には中国の二酸化炭素(CO2)排出量は、その他の各国を圧倒している。そして同時に、猛烈なペースで増加している。

筆者がまとめたところでは、2018年のCO2排出量の上位10カ国とそれぞれの排出量が世界全体に占める割合、2005年と比較した場合の増減は、以下のとおりだ。



これら10カ国の大半において、排出量に多大な影響を及ぼしているのは石炭の消費量だ。米国とドイツは大幅に減らしているが、反対に中国とインドは大きく増やしている。

英石油大手BPが毎年発行する報告書「BP世界エネルギー統計(BP Statistical Review of World Energy)」によれば、世界の年間のCO2排出量は京都議定書の発効以来、20%増加している。米国とEU各国が排出量を減らした一方で、アジア太平洋地域は50%増やした。

責任はどちらにもあるが…

実際のところ、京都議定書の発効以降、排出量をほかのどの国よりも大幅に減らしたのは米国だ。一方で中国は、どの国よりも排出量を大幅に増やしている。大気中にCO2を排出してきた歴史があるという点において、米国が最も大きな責任を負う一国であることに変わりはない。ただ、現在と最近の過去にみられる傾向を考えれば、十数年後には中国は、米国に取って代わる国になると考えられる。

2018年の1人当たりのCO2排出量は米国が16トン、中国が8トンだ。1980年以降、1人当たりの排出量は米国で20%減少し、中国では5倍以上に増えた。米国がCO2の排出に関して責任を負っていることが明らかであるのと同時に、重大な問題となっているのは増加する中国の排出量だ。一国だけで、2~4位の米国とインド、ロシアの排出量の合計に近い量、またはそれ以上を排出している。

つまり、排出量の削減においてどの国よりも重要なのは中国だ。パリ協定の成功と失敗に関するカギを握るのは主に、今後の中国の行動ということになるだろう。

編集=木内涼子

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