子どもへのクリスマスプレゼントに「ニンテンドープリペイドカード」はアリかナシか? 

Anna Bizon / EyeEm / Getty Images


これからのお金の在り方を考える

筆者が大学生にお金の歴史を説明した後に、「それでは、これからのお金はどのようなかたちになるのだろうか」と質問して一緒に議論したところ、とても面白い議論ができたので共有しよう。キャッシュレスや仮想通貨などが現金の一部を代替したとしても、基本的にお金がなくなることはない。しかし、あるコミュニティのなかではお金の概念がなくなるが、そのコミュニティの外、つまり違うコミュニティ間ではお金が存在するというのだ。

それはどういうことか。たとえば、本当に仲のいい友人や、家族間においては、自分が与えるモノやコト、そしてそれに割くリソースに対して、適切な対価を求めない。その逆も然り。自分がコミュニティ内で何かを与えられても、それに対して支払いは生じない。つまり、身内のようなコミュニティの中ではお金を介さずに経済がまわっていく。そこでは、お金の代わりに信用や愛情が全ての裏付けとなっている。その代わり、コミュニティの外に対して、コミュニティ内の何かが提供されるときは、適切な対価を要求するようになる。

実はこれは既に現実世界の中でも起きている事なのだが、それが更に発展したかたちを大学生たちが議論していたので驚かされた。

ビジネスモデルの考察は金融教育に繋がる

それでは、新しいお金の在り方が実現した世の中においては、どのようなビジネスが主流になるのだろうか。モノを仕入れて付加価値を乗せて売るという、昔からあるようなビジネスではなく、もっと新しいビジネスが主流になるのだろう。

いまでは子ども達の将来の夢にユーチューバーがランキング上位の常連となり、芸能人やプロのアニメーターではなくても、企画力と行動力があれば素人でもユーチューブというプラットフォームを利用すれば、大金を稼げるようになったが、一昔前ではこのようなことは誰も想像していなかった。最近では芸能人やアーティストなど、テレビで稼いでいた人たちすらも戦場をユーチューブに移している。

おそらく、これからのビジネスモデルは私たち大人が思い浮かばないようなかたちで収益をあげていくことになるだろう。ぜひ、子どもたちには旧態依然とした価値観を押し付けるのではなく、自由な発想で議論してみて欲しい。

日本では「金融教育」というと「投資教育」か「消費者教育」のどちらかに比重が偏ることが多いが、実は基礎の基礎は「お金の歴史」を学ぶことであると筆者は考えている。クリスマスを機に、子どもと一緒にお金の歴史を学びつつ、これからのお金の在り方についても一緒に話し合ってみてはどうだろうか。

連載:0歳からの「お金の話」
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文=森永康平

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