BLACKPINKが放つ「ガールクラッシュ」の魅力。なぜ4人の女性に世界が注目するのか?

「BLACKPINK 2019-2020 WORLD TOUR IN YOUR AREA」日本公演

「今日のアイメイク、可愛いね!」。そんな女性同士の会話が後ろから聞こえてくる。

12月4日、18時前。東京ドームの中で、BLACKPINKのワールドツアー『BLACKPINK 2019-2020 WORLD TOUR IN YOUR AREA』の東京公演が幕を開けるのを待っていた。

この日会場に集まっていたのは5万5000人。場内を見渡すと、開演に向けて胸を躍らせている人たちの中にはメイクやファッションを楽しむことが好きな女性が多いようで、実際にそんな会話が後ろの席で繰り広げられていた。(女性だけでなく、男性のオーディエンスが多かったことも、BLACKPINKの特性を伝えるうえで特筆しておきたい)。

BLACKPINKとは、BIGBANG、WINNER、iKONなどを擁する大手プロダクションのYG ENTERTAINMENTより、2016年にデビューした4人組のガールズグループ。「BLACKPINK」という名前は、可愛らしさやフェミニンさを表す「PINK」と、かっこよさ、強さ、自信を表す「BLACK」を組み合わせて付けられたもので、「可愛さだけではなく、才能・スキルもあるグループ」といった意味も含まれている。

「ガールクラッシュ(=女性が憧れる女性)」がBLACKPINKのコンセプトでもあり、まさに名前の意味通り、「可愛さだけが女性のすべてではない」という女性の心の内を体現するかのような表現で世界中の人々を魅了している。

BLACKPINKの人気は今や韓国や日本、アジアにとどまらず、欧米にも拡大しつつある。今年4月にリリースされたEP『KILL THIS LOVE』のリード曲“Kill This Love”は、アメリカ、スウェーデン、ブラジルなどを含む世界36か国のiTunesシングルチャートで1位を獲得。

さらには米ビルボード・アルバム・チャート「Billboard 200」の24位にランクインを果たした。リリース直後にはアメリカ・カリフォルニア州で開催される音楽フェス『コーチェラ・フェスティバル』のメインステージに、凄腕プレイヤー集団・The Band Sixを引き連れて出演し、アメリカのメインストリームのみならず生配信を通して世界中に堂々とアピールすることに成功した。

それは、アジアの音楽がアメリカの音楽マーケットの中で並ぶことのできる時代を告げてくれるような、エポックメイキングな出来事だった。

ネットを通して世界中のBLINK(=BLACKPINKのファンの通称)とコミュニケーションすることにも長けているBLACKPINKは、今や世界中の人たちに注目され、現在インスタグラムのフォロワー数、ユーチューブの登録者数はガールズグループとして世界ナンバー1を誇る。

“DDU-DU DDU-DU”のミュージックビデオが韓国のガールズグループとして初の10億再生を突破したニュースは、Forbesのアメリカ在住記者が先月伝えてくれたばかりだ。“Kill This Love”のミュージックビデオがユーチューブで公開された際には、「公開後24時間以内の再生回数」において、当時ナンバー1だったアリアナ・グランデを抜いて記録更新を成し遂げた。


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文=矢島由佳子

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