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2019.12.17 18:00

「稼ぐこと」は将来、どう意味を変えていくか? 

(左から)慶應義塾大学SFC環境情報学部長・アーティスト 脇田玲、ユーグレナCOO・リアルテックファンド代表 永田暁彦、前Forbes JAPAN WEB編集長、エディトリアル・アドバイザー、KESIKI INC Co-Founder 九法崇雄

(左から)慶應義塾大学SFC環境情報学部長・アーティスト 脇田玲、ユーグレナCOO・リアルテックファンド代表 永田暁彦、前Forbes JAPAN WEB編集長、エディトリアル・アドバイザー、KESIKI INC Co-Founder 九法崇雄

「人は、何のために稼ぐのか。その答えはいま、枝分かれし始めているのではないでしょうか」

ユーグレナCOO/リアルテックファンド代表の永田暁彦は、11月15日から24日まで、東京・九段下のkudan houseで開催された「AnyTokyo2019」でのトークイベント「稼ぐの未来」で、こう参加者たちに問いかけた。

「AnyTokyo2019」は、プロダクト、ファッション、インテリア、建築、ロボティクス、コミュニケーションなど、ジャンルの垣根を超えた展示やトークイベントが多数行われたクリエイティブ・フェスティバル。

その中でも一見、クリエイティブ・フェスティバルとはもっとも遠い印象を受ける「稼ぐの未来」と銘打たれたトークイベントの模様をレポートする。


トークイベントの冒頭、モデレーターを務めた前Forbes JAPAN WEB編集長、エディトリアル・アドバイザー、KESIKI INC Co-Founder九法崇雄は「稼ぐ」という言葉の語源について語った。

「もともと『かせ』とは糸を紡ぐ機械を指す言葉でした。それが近代以降、資本主義が浸透していく過程で、あくせく働くことや、お金のニュアンスを含み、現在では、稼ぐという言葉自体が卑しいニュアンスを帯びるようになってきました」

続けて、「いまの日本で、稼ぐことはどのような意味を持つか」と問うと、永田は「もともと人は、ご飯を食べて、寝るという生きること自体に苦労をしてきて、それを科学技術で解決してきました。現在、それがある程度確保されていることを思うと、生きるために稼ぐことの重要性は薄れているように感じます」と答えた。

確かに、現在の日本では生活保護などのセーフティネットを利用することができれば、最低限の生活を送ることのできる仕組みも整っている。


前Forbes JAPAN WEB編集長、エディトリアル・アドバイザー、KESIKI INC Co-Founder九法崇雄

稼ぐことにおいて、人類は二分される

安定した生活を送ることのできる状況に身を置くからこそ、稼ぐ意味が二分されてきているのではないか、と永田は指摘する。ひとつは、相対的な承認を得るため、モノを得るためのお金を獲得するために人生を歩むこと。もうひとつは内発的好奇心を満たすために人生を歩む、すなわち、広義の稼ぐことだという。

相対的な承認を求める人は、新しいiPhoneなど、新製品が発売されれば飛びつき、家や車の所有を誇示することに充足感を得る。同時に、モノの所有を誇示するものの、将来への不安から、貯蓄もする。

内発的好奇心に従って生きる人は、社会を変えたい、真理を追求したいなど、お金よりもそうした内発的な動機に重きを置く人たちを指す。
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文=本多カツヒロ 写真=小田駿一 Photo Retoucher=Shinji Uezumi(ADUMS)

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