勝ち抜く秘訣は、「疑うコスト」を下げること

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変化の時代になって、資本主義の性質も変わりつつあります。そもそも資本主義の本質とは、投資をリターンして資本を増やしていくものであり、これまでは「お金」や「コンテンツ」、「事業」などが資本の中心になってきました。やがてクラウドファンディングの登場により、会社などの“組織”だけでなく、個人でも資本の仕組みを生み出せるようになりました。

こうした流れを受け、今は「人的資本主義」の時代に突入しつつあります。といってもこれは、個人の持つ資質や時間を消費して、一回きりの勝負で終わる「ヘトヘト型」のことを指しているのではありません。むしろ、個人の力を投資やリターンによって拡大させ、再投資させていく「拡大再生産型」へ移ってきているのです。

人的資本における「拡大再生産型」とは、どのようにして起きてくるものなのでしょうか。

まず、ここでいう人的資本とは“信用と信頼”です。その信用や信頼とは、貯金のように貯めていくことができます。言い換えるなら銀行の複利のようなもので、個人の資質や力に対し、信用・信頼を掛け算式に増やしていくことができます。

例えば 毎日仮に1%ずつ個人の力を上げ、信用・信頼を1.01×1.01…と掛け算していくと、365日で40倍近くの力を得られる計算になります。逆に毎日1%ずつ堕落していけば、40分の1になってしまいます。

つまり、自分の持っている力が日々1%拡大していけば、1年で40倍近くの信用・信頼による価値を持てる、という計算が成り立ちます。

いずれにせよ、これからはより個人の力を鍛えていくことが大事な時代になっていくのは間違いないでしょう。しかし、資本主義にとってさらに大事なのは、 個人の力だけで働くのではなく、個人が生み出した資本が働くようになっていくことです。

この「個人が生み出す資本」こそが、信用・信頼です。その信用が勝手に増えていくこと、信頼が勝手に結果を持ってくるということ──つまり、「個人が生み出す資本」が、あたかも複利のように勝手に独り歩きしてリターンを生み続けることが大事だということです。
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文=尾原和啓

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