勝ち抜く秘訣は、「疑うコスト」を下げること

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信用と信頼の違い

ところで、信用と信頼とはどう違うのでしょうか。例えば借金する場合、信用がない人はサラ金で15.8%もの利息を取られますが、きちんと返済した実績があり、信用が貯まっている人は、より低い利息で借りることができます。つまり、信用の正体は“リスクが低い”ことだと思います。

一方で信頼とは、「この人じゃなきゃできない」とか、「この人と一緒にやったほうが楽しい」という“プレミアム的な価値を生み出すもの”だと思います。

例えばウーバーやエアビーアンドビーは、“知らない人の車に乗る、家に泊まる”という不安を、ユーザーのレビューやスコアによる信用で払拭することでより価値を高め、お金を稼ぐ仕組みです。

さらにウーバーの場合、 より客単価の高い大型車に買い換えるとき、スコアの貯まっている優良ドライバーならローンの利率を下げてくれるサービスもできています。信用という資本によって、個人の事業化さえも生まれるようになったと言えるのではないでしょうか。

一方で、信頼はあくまで1対1で生まれるものです。みなさんにも経験があると思うのですが、自分にとって強く信頼できる友人が「あなたに紹介したい人がいる」と連絡をくれた場合、「信頼できるあなたが紹介してくれる人なら、信頼するよ」と気軽に引き受けられるものではないでしょうか。つまり、信頼しあえる関係においては、“なにかと話が早い”のです。

信頼とは連鎖反応を起こすものでもあるのです。おまけに、信頼があると相手を「疑う」ためのコストをかけずに済むので、信頼の確変が起こります。結果、ものすごい速さで人と人が繋がり、化学反応を起こしていきます。

よって信用や信頼とは、スピードの早い変化の時代を勝ち抜くうえで重要な人的資本になっていくのではないかと、僕は考えています。

連載:ポストAI時代のワークスタイル
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文=尾原和啓

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