グーグルのFitbit買収に「独禁法違反」の疑い、米司法省が調査へ

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グーグルは先日、ウェアラブルデバイスメーカーの「Fitbit」を21億ドル(約2280億円)で買収すると発表したが、米司法省はこの買収が反トラスト法(独占禁止法)に違反していないか調査を行う見通しだ。12月10日、ニューヨーク・ポストが関係筋から得た情報として伝えた。

グーグルはプライバシー問題で当局から厳しい目を向けられているが、司法省は同社がFitbitの買収により、さらに巨大なデータを入手し、独占的なふるまいをすることを危惧している。Fitbitが取得するデータには、非常にセンシティブな健康に関わるデータが含まれている。

ニューヨーク・ポストによると司法省は以前にも増して、グーグルの反競争的行為に神経を尖らせている。消費者団体のPublic CitizenやConsumer Federation of Americaは、グーグルが入手可能な米国消費者の個人情報がさらに増えることになるとして、Fitbitの買収を阻止するよう求めていた。

今年11月には、グーグルが「プロジェクト・ナイチンゲール」というコード名で呼ばれるプロジェクトで、米国の何百万人もの医療データを収集していたと報道された。同社はヘルスケアシステム企業のAscensionと提携し患者のデータを無断でクラウドにアップしていたとされる。

この報道を受け、合衆国保健福祉省はグーグルの調査を進めている。

グーグルは11月、公式ブログでFitbitから得たデータを広告に利用することは無いと述べていた。フォーブスはグーグルとFitbitにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。

アップルはアップルウォッチによってフィットネストラッキング市場で有利な立場を築いたが、グーグルはこの分野で主流となるプロダクトを生み出せていない。Strategy Analyticsの2018年のデータによると、Fitbitのウェアラブル市場でのシェアは12.2%で、サムスンが11.8%、ガーミンが7.1%だった。

米国の当局や議員らは、グーグルやフェイスブック、アップル、アマゾンらの巨大テック企業の反競争的行為や買収に神経を尖らせている。なかでも検索エンジン市場で独占的な地位を持つグーグルには厳しい目が向けられており、検索結果で競合のサービスを不利にしたと非難された。

司法省だけでなく、全米50の州・地域の司法長官らがグーグルの広告事業に反トラスト法違反が無いかの調査を進めている。

編集=上田裕資

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