11月に行われた第2回世界防災フォーラムで紹介された、SDGs(持続可能な開発目標)の防災関連項目に関する進捗状況だ。
17の目標と169のターゲットを掲げるSDGsにおいて、私たちは、いま、どのくらいの段階にいるのだろうか。このままの活動を続ければ、SDGsの理念「誰ひとり取り残さない(No one will be left behind)」は、2030年までに達成できるであろうか。
仙台防災枠組とSDGs
SDGsで環境側面を推進するパリ協定については知っている人も多いだろう。それと同格に位置付けられているのが、「仙台防災枠組2015─2030」(以下、仙台防災枠組)だ。これは、2015年3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議で採択され、2015年6月の国連総会で承認された2030年までの国際的な防災指針である。
実は、日本のさまざまな防災対策は、SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくり(都市と人間の居住地の包摂性、安全性、レジリエンスそしてサステナビリティ)」が基礎となっている。SDGsを語る人は大勢いるが、実はそれらの人々の多くがこの事実を知らない、灯台下暗しの状況でもある。
21ある2020年期限のSDGsターゲット
SDGsではさまざまな分野で、ゴールを実現するターゲット指標が期日付きで設定されている。しかし、その全てが2030年が期限ではない。169あるターゲットのうち、21が2020年を期限としている。
例えば、今回取り上げるSDGs目標11の「ターゲット11.b」は次のようになっている。
「2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015─2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う」
あらかじめ「2020年までに」と期限を区切っているのだ。SDGsでは、このような中間目標が設定され、それを経て2030年までに全ての目標を達成させるという設計がなされている。