進捗状況47%──仙台防災枠組からみるSDGsマネジメントの限界

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最後に、策定した計画や達成した目標の実効性の担保だ。

防災計画や防災戦略を策定し、国連から公式承認を得ても、災害による甚大な被害が減らない現状がある。途上国の開発プロセスを災害が阻害してきた歴史があるが、それをどのように断ち切るか、それはSDGsで実現可能なのか、あるいはSDGs戦略も過去と同じ運命なのか──。

国家および地方の防災戦略・計画は、その機能を有することも重要だが、最終的な価値は防災計画の実装と実現を通じた開発目標の達成にある。ターゲットで要求されている計画を目的としてしまう、いわばSDGsのターゲット指標も手段の自己目的化という問題を内在しているのだ。

SDGsに求められる整理と軌道修正

2020年になれば、国連から「2020ターゲット」の進捗報告があるだろう。その時にどのようなメッセージを出すのかはわからないが、2030年までの残りの10年を見据えて、軌道修正をすべきところはしなければならないと筆者は考える。

ここで取り上げたように、パリ協定、SDGs、仙台防災枠組2015─2030は、いずれも2015年に採択された国際枠組であり、各枠組において法的な拘束力、目標、時間軸、指標設定など、相違性がある。

パリ協定第7条の下では適応プロセス、能力構築及び適応報告書等について述べられており、適応指標は現状各国に委ねられている。一方、SDGsや仙台防災枠組については、上述したように国連主導による指標が提示され、進捗管理が行われている。

SDGsのターゲットの中でも、汎用性が高い指標の設定は有益であると考えられるが、国や地域ごとにアプローチが異なる点は、今次の進捗状況や展開の質を踏まえるに、改めて指摘せざるを得ない。賛否があると思うが、SDGを真に達成するのであれば、世界共通の枠組を浸透させるというアプローチだけでは限界だ。

「誰ひとり取り残さない」ためのマネジメントそのものが問われ始めるだろう。何より日本では、お祭り騒ぎのように2030を掛け声にするのは良いが、そもそもSDGsの理解に乏しい人が多いのではないだろうか。

連載:「想定外」の研究
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文=蛭間芳樹

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