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2019.12.13 11:00

ファッションを楽しむことは消費ではなく生産行為である - 起業家・高木新平がYOOXで服を選ぶ

NEWPEACE代表の高木新平(左)とファッションディレクターの森岡弘(右)。

人気海外ブランドを中心に、1万ブランド以上の正規品を取り扱うイタリア生まれのファッションECサイト「YOOX(ユークス)」。NEWPEACE代表の高木新平が、YOOXを使って実際にショッピングを楽しんでみた。また、ファッションディレクターの森岡弘には、ビジネスパーソンにおすすめできるカジュアルウェアをYOOXで選んでいただいた。ふたりがセレクトしたアイテムがイタリアから到着後、対談形式で感想を聞いた。


テーマを決めると服選びはラクになる

高木新平(以下、高木)今回はせっかくの機会なので、予算10万円以内という設定で全身揃えてみました。

森岡弘(以下、森岡)さすがですね。トーンを揃えながらも、ちゃんと奥行きのあるコーディネートになっています。今回はどのように選んでいったのですか?

高木 僕は金髪にしていることも含め、自分自身がコンテンツだと思っているんです。そういった理由もあって仕事着もカジュアル。いつもはネイビーか黒のワントーンで揃えることが多いですが、それではつまらないなと思って。


高木はYOOXで全身をコーディネート。コート:Y-3 / ニット:MAISON MARGIELA / シャツ:JIL SANDER / パンツ:MSGM / シューズ:THUNDER SANKUANZ

森岡 では、今回は攻めたセレクトなのですね。

高木 そうですね。最初にこのシャツが目について、そこからはベージュ系で揃えようと思いました。なので、カラーでの絞り込み検索ができるのは便利でした。また、1色で揃えるなら素材もいろいろあったほうがいいかなと。

森岡 わかってらっしゃる。素材を変えることで、ワントーンでも奥行きが生まれます。しかも、ご自身のキャラに合っている。普段、ECサイトで洋服を買われることが多いですか?

高木 そうですね。洋服は好きなのですが、お店に足を運ぶ時間がなくて。休日、子どもを寝かしつけてひと休みしているときに、ECサイトを閲覧していることが多いです。

森岡 YOOXで買い物をしてみて、他とは違うなという点はありましたか? 例えば、過去シーズンの商品を扱っていて、それらをリーズナブルな価格で購入できることもYOOXの特徴のひとつです。

高木 掘り出し物を探す感覚が面白かったですね。世界中のファッションの倉庫を見ているような感覚がありました。あと、トレンドには、自分の好みかどうか、あるいは自分に似合うかどうかというのがありますが、それらを踏まえて過去シーズンの商品を後から追いかけて買えるチャンスがあるのは良いところです。ハイブランドほど思い切った仕事をするから、合わないシーズンもあるので。

予算を限定して全身コーデ企画にしたのは、良かったのかもしれない。ブランドも商品点数も膨大なので、テーマがなかったら永遠に探し続けるところでした(笑)。


YOOXのウェブページ

森岡 ファッションコーディネートにおいて、テーマを決めることはすごく重要です。「何でもいいから絵を描いてください」と言われると困りますよね? でも、「好きな場所に、自由にリンゴの絵を描いてください」と言われたらアイデアが広がっていく。それと同じなのです。

高木 確かにそうですね。クリエイティブな制約はあったほうがいい。


コーディネートできない人は意外に多い

森岡 一般的にECサイトでのショッピングは、コーディネートを楽しむというよりもリアルな単品買いになりがちですよね、安いから買うとか。私もビジネスパーソン向けのスタイリングをテーマに、楽しみながら商品を選ぶことができました。

高木 これはどういう人をイメージしたのですか?

森岡 今回は、AI技術をデザインに組み込んだオリジナルブランド「8 by YOOX(オット・バイ・ユークス)」から選んだのです。なので、カジュアル調になりましたが、基本的には幅広くビジネスパーソンに向けています。


森岡はYOOXのオリジナルブランド「8 by YOOX」から、ビジネスカジュアルをテーマにアイテムを選んだ

高木 普段、自分が着ないタイプの服なので興味があります。

森岡 ジャケットのコーデュロイやブラウンの色味は、トレンドを意識したチョイスです。あえてパンツをグレーではなくグリーンにして、足下はタッセル付きのローファーを選ぶことでドレッシーにしました。もう少しきっちり見せたい場合は、シャツをボタンダウンのストライプにするといいかと思います。

高木 打ち合わせでこの服装の方が出てきたら、しっかり仕事をしてくれそうで安心感があります。

森岡 オンオフ兼用ですが、仕事着は休日にお出かけするのとはちょっと違う。そういう部分をレザーシューズなど小物で表現することで、仕事への意識を高めるのが重要です。



森岡が8 by YOOXから選んだアイテム

▶商品ページ
シューズ:モカシン レザー100% タッセル付き
パンツ:クラシックタックパンツ
シャツ:シャツ コットンフランネル製 チェック
ジャケット:シングルプレスジャケット コーデュロイ製



高木 僕はInstagramを見ながら、ベージュのワントーン・コーディネートの参考にしました。

森岡 スナップは参考になりますよね。でも、それはファッション感度の高い人だからできること。世の中にはコーデイネーションができない人ってすごく多いです。「何を買えばいいのでしょう?」という質問をすごく受けますから。

高木 そういう場合、どうアドバイスされるのですか?

森岡 先ほどの話と同じく、テーマを投げかけてあげるのです。「好きなものは何ですか?」「どういう仕事ぶりの男性に見られたいですか?」とか。あと、ネクタイの締め方ひとつで意外に大きく変わりますね。

高木 なるほど。


何を買うか、どこで買うか、行動すべてがメッセージ

森岡 ビジネスとなると、サイズ感もすごく重要な要素になります。とくに海外ブランドの場合は難しい。今回、サイズに関してはいかがでしたか?

高木 自分のサイズプロフィールを作成できるのは良かったですね。海外のサイズ表記は日本と違うことが多いので混乱しがちですが、スムーズに選べました。今回は取材のときに着られないのが怖いのもあって、あえて全部オーバーサイズで選びました。

森岡 サイズがちがっても、14日以内に返品または交換が可能というシステムもあるのでその点は安心です。今や当然のサービスですけど、僕の世代は「なんか悪いかな」と思ってしまいますが。

高木 その気持ちはわかります。僕の場合は、購入したサイトで返却や交換をしなくても、CtoCのサイトを使うなど、何かしら流通させればいいかと気楽に考えています。



森岡 しかも、YOOXなら過去のシーズンのアイテムがかなり安く買えますから。場合によっては、「得」をしてしまうかもしれない(笑)

高木 それは本当で、今回のコーディネートもマルジェラのニット、ジルサンダーのシャツ、Y3のアウターなど、ハイブランドばかりなのに全身、靴まで揃えることができたのです。ありえない。

森岡 かつてはブランドイメージを守るためもあって、売れ残りを廃棄することが多かった。それを買い取って流通させるYOOXは、画期的だったなと思うのです。ファッション業界も、今は「サスティナブル」が大きなキーワード。その先駆けともいえる動きでした。

高木 ファッションって、自分なりの流儀や立ち振る舞いを表現するものだと思います。メッセージを着る感覚。でも、最近は行動そのものがメッセージになりつつある。つまり、「エコ」と描かれたTシャツを着るよりも、実際に環境に対して取り組んでいるブランドや素材を着るほうがファッションになっている。どこで買うのかも同じですよね。

森岡 表面的には良いことを言っているけど、「本当はどうなの?」というところまでみんな見ています。

高木 SNSでいろいろなことが透明化されて、嘘がつきづらい時代になったのは大きいですよ。言っていることとやっていることが違うのは、一番ダサいし、批判される。そういう意味では、自分を表現する手段がファッションだけでなく、生活全般になってきていますよね。

森岡 本当にそうですね。僕が若い頃はブランド物を着ているだけでカッコいいとされていた。もちろん、今も昔もワンブランドで全身を揃えればかっこいい。デザイナーはバランスを考えて提案しているわけですから。

高木 はい。


ファッションがビジネスツールになっている

森岡 でも、「全身ワンブランドで揃えるってどうなの?」と思われる時代。高木さんが選んだアイテムも、ブランドをミックスさせることで自分を表現しているわけですよね。それが上から下までワンブランドだと、「あなたは何も表現していない」と思われてしまう。自分で自分をプレゼンする時代においては、あまりプラスにならない。

高木 それはすごくわかります。ファッションをトレンドだけの視点で消費するのは、SNSで話題のネタすべてにコメントを入れるくらいダサい(笑)。自分の軸で選択して、自分の軸でものを言うことが大事な時代です。



森岡 高木さんが冒頭に「自分がコンテンツ」と仰っていましたけど、それは組織にいる人でもそうなっていますよね。今後は、「この案件は、あなたの会社のこの人にやってほしい」というオファーがくる時代になる。そうなると、仕事の場面におけるファッションは、ビジネスツールのひとつ。

高木 ほんとそうですね。僕は消費としてファッションをしているつもりはなくて、自分のプレゼンテーションとか生産行為をしている感覚があります。

森岡 最後に、高木さんは起業家の目線で、YOOXのビジネスをどう見ていますか?

高木 大きく見ればシェアリングエコノミーの構造かなと思います。アパレルの世界は需要に対して供給が多すぎる側面がある。でも、資本主義の世界で成長曲線を描こうとすると、供給を減らす決断はなかなかできない。かといって、消費されなかったものを廃棄してしまうのは時代遅れ。そういったとき、ブランドを毀損せずに価値として流通させる仕組みは、みんなが求めていたものだと思います。

森岡 イタリア拠点のサービスが、日本を含む世界180カ国以上で利用できて4~5日で届くというのも面白いですよね。ドメスティックのサイトとは、ちょっと違う感じがありますよね。今日はありがとうございました。



YOOX(ユークス)とは?
YOOX(ユークス)は、2000年に誕生したファッションとデザインを扱い世界を牽引するオンラインストア。世界中のデザイナー、メーカー、公式販売店との直接取引関係により、著名デザイナーの希少な服・小物・アクセサリーを幅広く取りそろえている。全ての商品をイタリアの自社倉庫から発送。日本へも注文後4〜6営業日で商品が届く。また、商品の受け取りから14日以内なら返品交換が可能となっている。

YOOX
https://www.yoox.com/jp

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高木新平◎NEWPEACE Inc. CEO/VisionArchitect。3.11を契機に博報堂から独立。シェアハウスを全国各地に立ち上げ、ブームを牽引する。2015年「20世紀からの解放」を掲げ、Visioning Company NEWPEACEを創業。自動運転、シェアリングエコノミー、SDGsなどの社会浸透を仕掛ける。2017年よりサードコミュニティ事業を展開。

森岡弘◎早稲田大学在学中より、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)にて編集業務にかかわり、卒業後に同社入社。男性ファッション誌メンズクラブ編集部にてファッションエディターとして従事。10年間勤務した同社を退社後、独立。現在は政治家や企業家、文化人などのスタイリングを行なう一方、ブランドのコンサルティング、広告ビジュアルやカタログ制作のファッションディレクション、スタイリングを手がける。

Promotion by YOOX / Text by Eizabro Tomiyama / Photography by Keiji Hirai